御影屋

高須光聖がキク「高須光聖×かわら長介」 第3話

関西で叩き上げの大先輩。やすし・きよしや、いとし・こいしの漫才も手がけられた経験のあるかわらさん。たくさんの厳しい現場を経験してこられた先輩は、表現に対して、笑いに対して、どこまでも真摯でした。若手作家が次々と台頭してくる現場で、歳を重ねた自分にできるトレーニングとは? そしてこっそりと松本人志さんに宛てたという、ちょっと熱い手紙の内容とは……?

インタビュー

第2話

2001.04

出会っていた僕ら

出会っていた僕ら

高須

俺ね、昔、大阪の番組『鶴瓶と花の女子大生』っていうのがあってね。
その番組は長さんが構成をやってはってんけど、
そこに俺は出演したんだよね、学生時代。

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えっ!? 高須さんが?

高須

素人の大学生として出演して、その時に俺は初めて「かわら長介」という作家に、
既に会ってたのよ(笑)。

かわら

そんなこともあったねぇ(笑)。

高須

俺は、バイト先の先輩が関西テレビの人に知り合いがいる人で、
その人に誘われたのよ。
「高須、テレビに出て泳ぐだけのバイトがあんねんけど、どう? 半日で5千円やで?」
って言われて、俺はもう二つ返事で
「いいっすよー」って引き受けてん。当時の大学生にとって
「半日で5千円」なんて、夢のような高額バイトやったから、
もう何にも考えんとその話に飛びついたんだよね。
で、特番のその企画に出た。
あの頃はまだまだバブルのちょっと前、ぐらいやったから、
とにかくテレビとそのスポンサーには金があった。
だから、バイトの学生までみんな連れて打ち上げの大宴会が開かれてねぇ。

かわら

そんな時代やったなぁ。

高須

鶴瓶さんも居る、女子大生もたくさん居る、当然構成の長さんも
居て、かわいい女子大生にバンバン声かけてんのを、
俺らは「ええなぁ~」とか言いながら羨ましく見つめてて……(笑)。

かわら

そんなんええがな(笑)。

高須

で、その隙を見計らって自分から話しかけに行ったんよ、俺は。
この人なら話せるかな~、とか思って。
男の少ない現場やったし、他に話せる男の人なんていなかったしね。
そしたら、意外なことに長さんは学生の俺らに対して、
結構ちゃんと接してくれはってん。
しっかり話聞いてくれたりしてさ。
で、あぁ、いい人やなぁ、と思ったんよね。

かわら

もちろんその時、俺はこいつが「高須だ」という認識では
喋ってなかったけどね。
というか、今でもそんなに憶えてなくて(笑)、
ひょっとしたら高須の嘘かな? とも思うね、この話(笑)。

高須

なんてこと言うんですか(笑)。
俺はちゃんと覚えてるんですよ、印象に残ってるんですよー。
でも、当時の長さんってテレビの構成をバリバリやってる時期ですから、
そういう人って学生バイトのエキストラなんか、
普通はあしらうじゃないですか。
どこの誰ともつかない若者なわけですし。
だけど、長さんはホントに僕らとしっかり話してくれたんですよ、あの時。

かわら

そう?

高須

うん……って、まぁ、正味5分程度でしたけどね(笑)。

かわら

(笑)。

第3話へつづく

放送作家

かわら長介 さん

1949年 岐阜県益田郡(現下呂市)に生まれる。
1956~1965年 悪癖に溺れる少年期。
1958年 初恋す。
1966~1968年 基本、恋狂い。
1968年 暗黒のサラリーマン時代。
1971年 某国立大学入学/社会を問わんとす。
1972年 杉浦千鶴子を知る。
1976年 結婚/漫才作家にならんと大阪へ。
1978年 島田紳助を知る。
1981年 月収100万円を超える。
1983年 吉永薫を知る。
1980年代後半 漫才と漫才作家に懐疑を抱く。
1987年 離婚~以後独身/高須光聖を知る/死刑3部作①『君は我が運命(さだめ)』やり直し公演。
1989年 死刑3部作②『殺さば死ぬる』赤字公演。
1990年 築本早栄美を知る。
1991年 かたつむりの会主催死刑反対イベント『寒中死刑大会』構成・演出。
1992年 死刑3部作傍流芝居『京阪神犯罪伝説』100万円赤字公演。
1993年 武井裕子を知る。
1999年 戦争芝居①『哀楽喜怒~私は子供が好き』200万円赤字公演。
2002年 戦争芝居②『祭りの極』500万円赤字上演
2004年 刺青/放送作家塾「魁塾」開始。
2008年 私刑芝居『牛馬頭のゲーム』大阪、東京700万円赤字公演。
2009年 主宰コントライブ『コント衛門第一回』開催。現在まで8回の公演にて中断中。
2014年 「魁塾」20期にて目出度く終了。
2015年 『週刊金曜日』に「かわら長介のコント工場の有機物」月一連載スタート。
2016年 (1月)銀座博品館のコントライブ『七転び八時起きの人々』にて作品上演。

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