スポーツに精通し、単なるスポーツ番組とは異なる面白さを示し始めたスポーツバラエティに数多く関わっている村上さん。どうしても視聴者層が限定されがちだったスポーツ番組に、演出や企画を足すことで新たな可能性を広げたスポーツバラエティ。その創生期にまつわる話をメインに、「おもしろくないをおもしろくする、おもしろがる」アイデアについてうかがうことができました。
インタビュー
第9話
2000.11スポーツの魅力をすべての人へ
高須
もともと、ダウンタウンDXだったかの特番で、
ボクシングチャンピオン4人
(ガッツ石松、具志堅用高、輪島功一、渡辺二郎)が楽屋で話していて、
そこで「ダウンした時はどんな感じだった?」という話をしてるのを、
たまたまそばで聞いてたら、それがめちゃめちゃ面白かったんだよね。
「ノックアウトされたら、"ぶーん"っていうよなぁ~」って
誰かが言ったら、みんなそうそうって言って盛り上がってる、
これが面白くて。
僕らにとっては、ものすごい「非日常」であり「非常識」やったり
するやん。そういうのはおもしろいし、ある意味極端で、
テレビとしてもいいなぁ、と思えた。
聞く内容や対象は違うけど、
俺は「スポーツ選手のから騒ぎ」みたいな雰囲気になったら
いいなぁ、と思ってた。
そしたら、浜田が活き活き立ち回れる環境になるぞ、と。
村上
から騒ぎほど美麗な画面の華やかさではないとしても、
最近のアスリートは、意外にかっこいい人やかわいい人も
多いですからね。競技してるときに表情見えないような人でも、
いざ「ジャンク」に出たら、あらっ、かっこいいじゃん、と
なってもらえたりしてると思いますよ。
高須
実際、若い女の人がすごく見てくれてるしね、「ジャンク」は。
どっちかっていうと、男の層を完璧に取りに行ったのに、
数字伸びて、しかも若い女性層をゲット。
これは、うれしい誤算だったなぁ(笑)。
村上
「ジャンク」に関しては、
「いやー、うちのかみさんがおもしろいって見てるんだよ」とか
言ってもらえたりして、自分の中ではびっくりでした。
女の人でもいけるんだぁ~って。
でも、競馬の後藤騎手とかも、普段はゴーグルつけて
速い馬の背中に乗って、派手な勝負服来て、表情なんて
競馬好きの多くのおっさんにしか見てもらえないわけですよ。
ところが「ジャンク」に出て、男前だというキャラクターを
与えられて、女性が「あの男の人、誰?」とチャンネルをとめてしまう。
それがまた新鮮なところなんですよね、競馬ファンにとっても、
そうじゃない人にとっても「有り得ないとこ」だったから。
『おしゃれカンケイ』には厳しくても、『ジャンクSPORTS』なら
全然大丈夫ですよ、みたいなポジションの微妙な感じが、
アスリートの人達にとってやさしくあればいいなぁ、と思うんですよ。
見てる人にとってもシンプルで、見やすくて…。
最近は、やっとスポーツの人達が出てきてもいい時代になってきたと思うんです。
昔は「テレビばっかり出てるから」とか、何かって言うと
成績不振がメディアのせいにされたりして、浮ついてるように
見えるからって避けられてたけど、やっと時代がよくなって、
閉じこもらずに自己主張してもいいんだな、って
思ってもらえるようになってきた気がする。
だから、もっともっと彼らの気持ちを伝えていけたらいいですよね。
高須
実際、「ジャンク」がきっかけでいろいろと活躍の場が
増えた人もいるしね。
村上
スポーツバラエティってものが増えたからには、
それなりの需要の中で、それなりの役目を果たしていけたら…。
それが今のところの目標ですかね。
高須
大丈夫やろ、頑張れるやろ。戦いかもしれんけど。
村上
そうですね、戦いですけど、好きなことでもありますから。
御影湯 村上卓史の湯 おしまい
村上さん、お忙しい中、たくさんのお話をありがとうございました!!
おわり
放送作家
村上卓史 さん
1966年9月26日生まれ。神奈川県出身。テリー伊藤に師事し、『天才たけしの元気が出るテレビ』で放送作家デビュー。『炎の体育会TV』『もしもツアーズ』『みんなのKEIBA』など担当。馬主としてエンジェルツイート(大井S1東京2歳優駿牝馬)、ビーボタンダッシュ(福山重賞ファイナルグランプリ)など所有。ネットラジオ局ソラトニワ銀座『村上卓史の馬イイ話』(水曜17時)のDJも担当。沖縄YOEC講師。