御影屋

高須光聖がキク「高須光聖×村上卓史」 第9話

スポーツに精通し、単なるスポーツ番組とは異なる面白さを示し始めたスポーツバラエティに数多く関わっている村上さん。どうしても視聴者層が限定されがちだったスポーツ番組に、演出や企画を足すことで新たな可能性を広げたスポーツバラエティ。その創生期にまつわる話をメインに、「おもしろくないをおもしろくする、おもしろがる」アイデアについてうかがうことができました。

インタビュー

第8話

2000.11

高須光聖がキク「高須光聖×村上卓史」

偏りがおもしろさの秘密

高須

同じスポーツバラエティってところで、
『ジャンクSPORTS』は大丈夫なの?(笑)
アスリートにとっては「俺ら、遊ばれてるっ」て
思われたりしてないかな?

村上

トーク主体なので、苦手に思う方もいると思いますけど、
決してアスリートを追い込むような番組にしちゃいけないと思うし、
スタッフともそこは意思統一できてますよね。始まるまでは
「暴露番組でしょ?」みたいなイメージもあったみたいですけど、
放送していくうちに「出てもいいよ」といってくれる選手が
増えているそうですし。

高須

そういうことをね、誰より村上くんが意識してくれてるから、
俺は「ジャンク」安心なんだよね。
だって、村上くんは「スポーツだけ」の脳ではない。
しっかりと「バラエティ」としての楽しみ方を知って仕事してくれてるから、
浜田も(村上くんが収録現場にいてくれて)安心してるって聞いたよ。

村上

あ、それはとっても嬉しいです。
僕もフジテレビではこういうスポーツバラエティらしい
バラエティをやるのは初めてで、かなり緊張してたんです、始まるまでは。
で、新しいスタッフさんに対しても緊張感あったのはもちろんなんですが、
浜田さんに対しても、やっぱし「怖いかも~」と思っちゃってたんですよ~。
僕にとって仕事がしやすいかどうかっていうのは、
「キチンとお話をしやすいかどうか」ってことなんですね。
やっぱりしっかり話や意見を聞いてもらえるか、
アプローチしていけるかって、モノ作りの上で大きい要素じゃないですか。
で、実際に浜田さんにお会いしてみたら、
全く杞憂に終わったので安心しました(笑)。
きちんと意見をお話してくださって、僕らの側もそれを聞きながら、
自分たちの考えをぶつけて、うまくコミュニケーションしていけたので。
高須さんに対してもね、初めてお会いするまでは、実際に接する
立場的な近さもあって、対浜田さん以上に緊張してたんですよ、僕(苦笑)。

高須

そうやったん!?

村上

意外に人見知りするタイプなんで(笑)
高須さんと仕事てしいた作家の中野(俊成)くんからは
「一緒にやり甲斐のある、いい先輩だから大丈夫だよ」
とか言ってもらえてたんですけど、会うまでは
「ホントかなー、ホントかなぁ?」ってずっとドキドキしてました。
だけど、やっぱりそれも全くの杞憂でした。
ジャンクは出演者、スタッフともどもボクにとってはベストメンバーですね、
ってほめすぎですかね(笑)。

高須

俺はね、ぶっちゃけて言うと「ジャンク」って始まる前は
すごく不安だったのよ。
浜田雅功でスポーツっていう接点が、
あまりにも思い当たらなくてね。

村上

確かに、浜田さんにスポーツのイメージはありませんでしたからね。

高須

フジテレビの23時台で、それなりに注目されてる枠でもって
単純に浜田に「スポーツキャスター」をやらせてしまっては
いけない、と思ってた。スポーツ番組だからって、
浜田ひとりでスポーツを単純に「お伝えします」なんて、
そんなもんは有り得ないぞ、と。
だから、最初の会議はすごく煮詰まったでしょ。
どうしたらいいんだよ~、て。

村上

で、どうにかトーク形式にしようってことが決まっても、
スポーツマンにどれほどトークができるんだ、というのが
かなり不安要素として言われてましたもんね。

高須

そうそう、そんな番組の前例が無かっただけに…。

村上

毎週毎週、アスリートだけで大丈夫なんだろうかって。
そこはやっぱり未知数でしたし。
……だけど、予感としてあったのは、いい意味でも悪い意味でも、
アスリートは「専門家」じゃないですか。
スポーツっていう専門畑で育ってきた人達ばかりで、
十年も二十年もそれだけしかやってこなくて、今がある。
そしたら、どうしたって「偏り」ますよね。
そこには鉱脈がありそうだな、って。

高須

結局、そこが突破口になったよね。

村上

普通の社会とは確実に違う日々を送ってきて、
しかも、自分が専門としてる競技以外の競技の人と
接する機会もほとんど無い。

高須

それはたくさんのいろんなアスリートを集めてみて、
「あっ、そうなの?」って感じだったよね。

村上

バレーボールの世界の人は、競馬の騎手の話に「へぇ~っ」て
なったりするし、バドミントンの世界のことは、
カーレースには全く未知の世界だったりして。
よく考えたらそれは確かにそうなんだけど、
僕らにしてみたら、似たようなもんだろ、みたいな認識もあるから、
逆に「あ、この人、このこと知らなかったのか」と思えて、
見ることができてくる。
それでやっと、方向がみえてきて、
ああ、これで少し持久力のある番組になれるかな、とは
思えるようになりましたけどね。

第9話へつづく

放送作家

村上卓史 さん

1966年9月26日生まれ。神奈川県出身。テリー伊藤に師事し、『天才たけしの元気が出るテレビ』で放送作家デビュー。『炎の体育会TV』『もしもツアーズ』『みんなのKEIBA』など担当。馬主としてエンジェルツイート(大井S1東京2歳優駿牝馬)、ビーボタンダッシュ(福山重賞ファイナルグランプリ)など所有。ネットラジオ局ソラトニワ銀座『村上卓史の馬イイ話』(水曜17時)のDJも担当。沖縄YOEC講師。

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