御影屋

高須光聖がキク「高須光聖×村上卓史」 第7話

スポーツに精通し、単なるスポーツ番組とは異なる面白さを示し始めたスポーツバラエティに数多く関わっている村上さん。どうしても視聴者層が限定されがちだったスポーツ番組に、演出や企画を足すことで新たな可能性を広げたスポーツバラエティ。その創生期にまつわる話をメインに、「おもしろくないをおもしろくする、おもしろがる」アイデアについてうかがうことができました。

インタビュー

第6話

2000.11

高須光聖がキク「高須光聖×村上卓史」

スポーツをバラエティにするむずかしさ

村上

さっき、スポーツと商売が繋がってるって話をしましたけど、
実際スポーツバラエティ作るのだってそういう部分があるわけですよね。
スポーツというものを土台に置いて、別の何かを期待して、
作ったりしちゃうわけですから。

高須

明らかに別の要素が絡んでくる、という点でね。
スポーツ報道と、スポーツバラエティっていうんじゃ、
また切り口や捉え方は確実に変わってきたりするなぁ。

村上

そうなんです。
見方を変えて、見せ方を考えていかなきゃならない。
それをね、僕はいろんな場面で、いろんな方に
教わってきたような気がします。

高須

例えば?

村上

日本テレビでは『スポーツえらい人グランプリ』の
天才的なディレクターですね。
例えば、「長嶋さんコーナー」とかってあるんですけど、
膨大なその素材の中から探してきたものにすごく上手に
筋をつけるんですよ。
既存のバラバラのVTRをまとめて、ひとつの筋の通った企画として
成り立たせるってことは、つまりどんな風に見せ方を変えていくか、
てことの典型じゃないですか。
あぁ、こうすればこんな見え方があるのか、とか、
こんな切り崩し方をして、こう並べればいいのか、って、
斬新なやり方をたくさん見せてくれて、本当に勉強させられました。

高須

他には?

村上

その後、たまたま鮫ちゃん(鮫肌文殊さん)から、
「『筋肉番付』やらない?」って誘われて、
TBSのスポーツバラエティにも関わらせていただくようになったんです。
そうしたら、そっちでもまた、見せ方の発見の連続だったんですよ。
ここの敏腕プロデューサーが『世界陸上』をやったときに
本当に普通のお堅い競技会を、
上手にバラエティの切り崩し方ですごく上手に調理しちゃってた。
例えば、選手にキャッチコピーをつけた紹介VTRを作って、
そうすることで誰も知らないような競技の、
誰も知らなかったような選手を、一瞬でヒーロー、ヒロインとして
お茶の間に見せちゃったんですね。
その時点で、視聴者はスポーツドキュメンタリーのようにして、
生の競技会を楽しめてしまう、という。
そういうのは、本当に勉強になりました。

高須

なるほどなぁ。
スポーツってただでさえルールがややこしかったり、
選手の名前覚えれなかったりするもんね。
スポーツをマンガに見せるっていうことは大事だよね。

村上

スポーツの魅力って、絶対多面的だと思うんですよ。
結果だけでもないし、過程だけでもない。
だから、どこまでどうやって、その楽しさとか、
例えば敷居の高さとか、ルールとか、
あとマイノリティーとかをうまく料理して出すか、っていう気はしますね。
まぁ、あんまりやりすぎちゃうと、ダメなんですけど。

高須

でも、フジテレビの『珍プレー好プレー』なんか、
みのもんたのナレーション、絶対嘘やんか(笑)。
絶対現場の選手はそんなこと言ってないのに、
ナレーション勝手につけて、でもそれが容認されてるやんか。
あれ歌手に置き換えて見たら、真剣な顔してるのに、
唄っている歌詞はアホな歌ってことでしょ。
それって、普通なら絶対苦情来るよね。
そういう意味で、スポーツにおける映像に関する権利って、
ドラマや音楽とかに比べて、まだまだ緩いのかなぁ?

村上

どうなんでしょう? 詳しいことはわかりませんが、
根本にスポーツへの尊敬があればなんとかなることが多いですね。
そういう点では他のジャンルよりも懐が広いかもしれません。

高須

そうだなぁ…「ジャンク」やってても、確かにそれは思う。
懐広いというか、ゆるいというか。
競技そのものは真剣でも、そっから先が広くて、
競技の姿勢に関わりさえしなければ、その後の遊びの部分を
許してもらえることが多かったりする。
善し悪しはあるとしても、そうやってバラエティって要素での演出と手助けでもって、
スポーツが社会に浸透していくってのは、
これはええことなんではないかなぁ、と俺は思うけどね。

村上

だと、一番嬉しいですね。作ってる側としては。

第7話へつづく

放送作家

村上卓史 さん

1966年9月26日生まれ。神奈川県出身。テリー伊藤に師事し、『天才たけしの元気が出るテレビ』で放送作家デビュー。『炎の体育会TV』『もしもツアーズ』『みんなのKEIBA』など担当。馬主としてエンジェルツイート(大井S1東京2歳優駿牝馬)、ビーボタンダッシュ(福山重賞ファイナルグランプリ)など所有。ネットラジオ局ソラトニワ銀座『村上卓史の馬イイ話』(水曜17時)のDJも担当。沖縄YOEC講師。

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