御影屋

高須光聖がキク「高須光聖×三木聡」 第8話

『ごっつえぇ感じ』などでさまざまな企画を共に手がけてきた2人。その後、三木さんは映画監督として数々の作品を手がけられるようになりました。二人がコントや企画、舞台で「くだらないこと」に全力を傾ける姿勢の中にも、じつは色気があるとかないとかで細分化されるカラーの違いがありました。そして「一万円ライブ」のウラ話など、『ごっつ』世代にはたまらないトークが満載だった一夜のレポートです。

インタビュー

第7話

2001.01

高須光聖がキク「高須光聖×三木聡」

ダウンタウン

三木

それにしても「ごっつ」に関わったりしてた、
あの三年間の刺激は本当に大きかったね。
松本人志の発想は当然凄いし、
そこを支えてるスタッフもやっぱりすごかったよ。

高須

俺が当時、三木さんの言った言葉で忘れられないのは、
「ダウンタウンがこれだけテレビに出て、ゴールデンで
やっていけてるのは、本来は深夜でなければやっていられない、
理解されない感性の笑いを、ゴールデンでも分かってもらえるように
工夫して、そこへ向かって彼らが努力し続けたからだ」っていう意見。
自分たちなりに工夫して、自分たちのカラーをたくさんの人に
受け入れてもらおうと試行錯誤したことが、彼らの凄いところだ、ってね。
分かってくれる人だけに分かってもらえればいいや、ていうんじゃなくて、
いやいや、もっと分かってもらわなくちゃと、
松本と浜田が頑張ったところが偉いんだ、違うんだ、と三木さんが言ってて、
それは本当にそうだなぁって、俺は思った。

三木

やっぱり「出演者」として革命的だったよね。
漫画で吉田戦車が、4コマ漫画の一コマ目にオチを持ってきて、
それ以降のさらなる発想の広がりまでを漫画にしたみたいな
新鮮さっていうのかな…世間がダウンタウンを認める
素地みたいなものは『スネークマンショー』がオンエアされた頃に
確かにあったんだろうけど、そこに妥協せずに
もっともっとたくさんの人にって努力をしたことが、凄かったんだよね。
時代と共にVTRの技術が発展して、テレビの素材として
スタジオと同じくらいロケの素材が重視されるようになった時代に、
たけしさんはすごく優秀な「コメンテーター」だったんだと思うんだよ。
それはだから、テレビの技術革新と共にうまく歩んできた才能だったと思うわけ。
だから、伊藤さんと一緒に革命を起こして来られたんだと思う。

高須

なるほどね。
テレビが変わる時に、必ずそれを担う革命家が生まれるっていうのはあるよね。

三木

萩本欽一さんもテレビが始まった頃に、やっぱり革新を起こしてるしね。
テレビの形を知ったからできた、というか。

高須

ロコモーション系作家のみんなが言うのは、『ごっつえぇ感じ』
という番組には、やっぱり圧倒的なオリジナリティがあったんだ、と。
それが今でもなんだか嬉しくてね。
コントにしても、VTRものにしても、笑いの進化みたいなものが
あの番組には確実にあって、それを本当に理解して笑っていた人は、
そうはいなかったんじゃないかな。
圧倒的に「うわ、すごいっ」と感じられる、コントがあって、
そこに「芸人の技」みたいなものがかみ合って見たことのない、
新種の笑いがスタジオにゴロゴロ落ちてたもん。

三木

「ごっつ」が中盤にさしかかる頃って、どの番組も
CMのまたぎっていうのを気にしだしてたじゃない。
でも、そんなん全然気にしてない作りだったもんね(笑)。

高須

関係なかったね(笑)。

三木

きっちりコントが終わってからコマーシャルなの(笑)。

高須

だけどそれで視聴率20パーセント叩き出してた時代が、確かにあったからね。
それはそれですごいことだと思うよ。

第8話へつづく

放送作家

三木聡 さん

神奈川県横浜市出身の放送作家・映画監督。
他にもヘビナ演術協会やシティボーイズライブ等の脚本・演出。

テレビドラマ
・世にも奇妙な物語第3シリーズ「顔」(1992年、フジテレビ)脚本
・留萌交番日記'95春(1995年、北海道テレビ)脚本
・優香座シネマ「お湯は意外とすぐに沸く」(2002年、テレビ朝日)脚本・演出
・演技者。「いい感じに電気が消える家」(2003年、フジテレビ)脚本・演出
・68FILMS東京少女#6「臭いものには蓋の日」(2004年、BS-i・BSフジ)脚本・演出
・時効警察(2006年、テレビ朝日)脚本・演出
・帰ってきた時効警察(2007年、テレビ朝日)脚本・演出
・週刊真木よう子「チー子とカモメ」(2008年、テレビ東京)脚本・演出
・トンスラ第1話(2008年、日本テレビ)脚本・演出
・熱海の捜査官(2010年、テレビ朝日)脚本・演出
・変身インタビュアーの憂鬱(2013年、TBS)

映画
・シティボーイズライブ短編映画「まぬけの殻」(2000年)監督・脚本
・イン・ザ・プール(2005年)監督・脚本
・亀は意外と速く泳ぐ(2005年)監督・脚本
・ダメジン(2006年)監督・企画・脚本※撮影は2002年
・図鑑に載ってない虫(2007年)監督・原作・脚本
・転々(2007年)監督・脚本
・インスタント沼(2009年)監督・脚本
・俺俺(2013年)監督・脚本

舞台演出
・シティボーイズライブ「さまよえるオランダ人」(1989年)
・シティボーイズライブ「サイパン」(1989年)
・シティボーイズライブ「ワニの民」(1990年)
・シティボーイズライブ「14Cの記憶」(1991年)
・シティボーイズライブ「鍵のないトイレ」(1992年)
・シティボーイズライブ「愚者の代弁者、西へ」(1993年)
・シティボーイズライブ「ゴム脳市場」(1994年)
・シティボーイズライブ「愚者の代弁者、うっかり東へ」(1995年)
・シティボーイズライブ「丈夫な足場」(1996年)
・シティボーイズライブ「NOTFOUND 見つかりませんでした」(1997年)
・シティボーイズライブ「真空報告官(P)」(1998年)
・シティボーイズライブ「真空報告官大運動会」(1998年) 渋谷公会堂
・シティボーイズライブ「夏への無意識」(1999年)
・シティボーイズライブ「ウルトラシオシオハイミナール」(2000年)
インターネットドラマ
・インターネットドラマ「φ」(2002年)脚本・演出
・グンゼ「ベランダ」(2008年)脚本・演出

これまで担当した番組
・夕やけニャンニャン(フジテレビ)
・世界で一番くだらない番組(フジテレビ)
・タモリ倶楽部(テレビ朝日)
・ダウンタウンのごっつええ感じ(フジテレビ)
・笑う犬シリーズ(フジテレビ)
・TV'sHIGH(フジテレビ)
・北半球で一番くだらない番組(フジテレビ)
・トリビアの泉〜素晴らしきムダ知識〜(フジテレビ)ブレーン担当
・ヨルタモリ(フジテレビ)

著書
・『インスタント沼』角川書店(2009年4月25日、ISBN978-4048739429) 装画 逆柱いみり
・三木聡ほか著『帰ってきた時効警察』角川書店(2007年6月ISBN978-4048737821)-第2シリーズのノベライズ。
・『帰ってきた時効警察オフィシャル本』太田出版(2007年6月9日、ISBN978-4778310677)
・『図鑑に載ってない虫『』幻冬舎(2007年4月、ISBN978-4344013179)

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