『元気が出るテレビ』の「放送作家予備校」出身作家として、やはり外せないのがテリー伊藤さんのお話。都築さんにもたっぷりテレビマンとしての伊藤さんの凄さを語っていただきつつ、映画撮りたいか否かというお話や、作家としての未来の話などを。そして、伝説の番組『完全人体張本』の話はやはりはずせません。とってもかっこいい赤ちゃんのちんちんトーク、見逃さないでください。
インタビュー
第6話
2000.12見えてくる、ということ
高須
おそらく若干失礼な話ではあると思うねんけど、
ここまで場数を重ねてくると、番組を作るときに、
このタレントさんで、この作家で、このディレクターで…って
計算していったら、大体のラインが見えてきてしまうっていうのは出てくるやんか。
番組作る人間も無限にいるわけじゃないから、
トランプのカードみたいに定数でいくつかあって、
今回配られた手札はこれこれこれでした、みたいな。
そしたら、役の限界が出てくるっていうか。
「これでは絶対ロイヤルストレートフラッシュは無理です」ってのが
分かって、でもじゃあどうやって勝とうかって感じのことが、ほぼ出てくるよね。
都築
そうですね。
どっかで可能性見限ってしまって、失礼だと知りながら
全力で動けない瞬間とかって、どうしてもあったりしますから。
高須
全体が見えるようになればなるほど、
そして「見渡した上で、さあ、ご意見をお願いします」って
立場になっていけばいくほど、
更に動きにくくなってどうしようもなくなったりするんだよ。
都築
そして、どれだけ頑張ってもテレビは作家のものではないんですよね。
タレントさんのものであり、なによりディレクターのものですよね。
だから、良いディレクターが良い番組を作っていくってのは、
絶対に覆らない現実ですよ。
今だったら『ガチンコ!』が当たってるからって
真似して作った番組があったとしたら、
それが多分一番恥ずかしい番組になっちゃうと思うんですね。
それは何でかっていうと、やっぱりディレクターが違うから。
「ガチンコ」が「ガチンコ」として成り立っていて
受け入れられてるのは、どこを切っても作ってるディレクター、
「ガチンコ」の場合、総合演出の合田ディレクターってことになりますけど、
彼だけしか持ってない、彼の血液みたいなものが滲みだしてくるっていう、
それだけのポイントだと思うんですよ。
だけど、それだけだからこそ、真似しても何にも真似できやしない、という。
テレビはだからやっぱり、ディレクター=演出家のものですよ。
いや、だからって作家の仕事を一生懸命にやる気がしません、て
ことじゃないですよ(苦笑)?
高須
テレビに限らず、作家に限らず、どんな仕事でもチームでやる限り
共通してることやと思うねんけど、自分の出した企画、つまり
自分らしさを全然違うテイストで調理されたりして、
持ち味ゼロにされたりしたら、もう、キレそうになるやんか、
悔しくって(笑)。
そしたら、ああ、もう何やっても無駄なんだな……ってなってしまう。
どんどんどんどん悪循環にはまっていく。
良いディレクターのところには優秀な作家が集まって、どんどん
「らしさ」が発揮されていくのに、悪いディレクターの所には
永遠に全力出す作家が集まらないっていう図式が
成り立っていってしまう。
都築
逆に、作家にとって一番嬉しいのは、自分の出した企画を
そんなにおもしろくしてくれたのか、ていうVTRが返ってくる瞬間ですよね。
そこまで僕の企画を噛み砕いて理解してくれてたのか、と思えて、
嬉しくなる。出来るディレクターだな、と思う。
高須
そこの関係性がほとんどのことを決めるんよなぁ、結局。
第7話へつづく
放送作家
都築浩 さん
大阪府出身。1967年2月3日生まれ。早稲田大学理工学部除籍。
20歳の時、『天才たけしの元気が出るテレビ』で放送作家デビュー。
以降、『進め!電波少年』『ASAYAN』『学校へ行こう!』『笑っていいとも!』などを手掛ける。
好きな食べ物:センマイ刺し
現在の担当番組
『中居正広の金曜日のスマたちへ』
『ぴったんこカン・カン』
『あさチャン!』
『がっちりマンデー!』
『しゃべくり007』
『ニノさん』
『NEWSZERO』
『メレンゲの気持ち』
『SmaSTAION!!』
『夏目と右腕』
『関ジャム完全燃SHOW』など