御影屋

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まだ入社1年目の新人ADが出した企画がまさかの採用。いきなり初プロデューサー&初ディレクターを兼務しながら他の番組では底辺のAD業務の日々。記念すべき初番組の作家にと白羽の矢がたったのが、なにを隠そうこの私。まさかのオファーに戸惑いながらも、なんか面白そうだったので引き受けることに。その時の縁が巡り巡って、一緒に番組をしている。今最も芸人に信頼されているディレクターになった彼とテレビの熱い対談が始まる
※この対談は2016年9月7日に収録したものです。

インタビュー

第4話

2018.01.09

藤井健太郎というディレクターって?

高須

なんでTBS入ったの?テレビ局、どこでもよかった?

藤井

どこでもよかったです。
もちろん希望の順番はありましたけど。
僕、面接とか弱いんですよ。

高須

そうねー。強そうじゃないねー(笑)。
だから藤井が演者と遊んだりするのを「あっ、そうなんや~」って意外なのよね。

藤井

遊ぶってほど遊んでもないですけど。どうなんですかね。

高須

でも、わかんねん。
藤井みたいなタイプが好きな人(芸人)もおるから。わかる。
加地君とはタイプが違うもんな?
加地君はもっと明るいというか自分から道化ながら芸人の心開かせる系というか喋りのテンポも、藤井はたぶん違うもんね。

藤井

そうですね。僕はもっと大人しく話を聞いている感じかもしれないです。

高須

でも今そういう人が多くなってきたのかな?
ディレクターって。

藤井

でもこう、結局やる事増えて細かい事やらなきゃいけない感じになっているじゃないですか?
昔よりもっと繊細になっているはずなんで。
もっと大味だったはずだし。昔は。

高須

なるほど。

藤井

そうすると、「ヨイショー!」みたいなディレクターは減ってはくる。

高須

確かにね。

藤井

でも、ずーっとひとりで詰めるような人の方がきっと最終的に演者さんたちは・・・
わからないですけど、片岡飛鳥さんとかもそうですよね?

高須

一人で詰める系かもしれへんけど、飛鳥はまた別かもね。
飛鳥なんかはもう打ち上げもせぇへんから、「距離感」が近くなりすぎると、逆に演者にモノが言えなくなるから打ち上げとか忘年会とかも基本せぇへん。
一年目だけしたのかな。忘年会。そっから「こらアカン」と。
この距離感は緊張感持って演者と向き合われへん、自分のやりたい事を相手にちゃんと伝えなアカンっていう時になぁなぁでやるとやっぱりよくないと本人が思ったらしく。

藤井

番組のスタイルとやりたい事ですよね。

高須

そうそう。
ストイッックと言うかなんと言うかもうある種“宗教”かな。
だから演者もディレクター(飛鳥)がそこまでやるなら腹くくってやらなしゃ〜ない。

藤井

“片岡飛鳥教”の話、たくさん聞きたいですね~
やっぱり内部の人に聞くとめちゃくちゃ面白いんですよ。
いつか本とか出して欲しいです。ご本人が、ってより証言集みたいな。

高須

やーすごいよ。
演者の追い込み方とか、モチベーションの上げさし方とかえぐいで。
だって山本(極楽とんぼ山本圭壱が10年ぶりにめちゃイケに出た時の収録)の回とか、ある意味全員をトランス状態にまで持っていくからね演出を超えて、もう洗脳やね(笑)

番組の画のこだわりって大事?

高須

最初に総合演出やったのって、なんなん?

藤井

その一個目(『限度ヲ知レ』)を除いたら『キリウリ』って言う、ジュニアさんと宮迫さんとやったやつで。

キリウリ

2009年1月4日・2010年9月22日に放送された 宮迫博之・千原ジュニアMCの「企画のオークション」番組。お題に対し芸人たちが 大喜利的なアイデアを出して、一番ハードで面白いアイデアを出した人が落札。 やってクリアしたら賞金が手に入る。例えば「毎朝7時に〇〇で目覚まし! 一週間耐え切れたら10万円」というお題ではオードリー春日が「土砂」で落札。 一週間に渡り自宅に土砂をぶちまけられ、部屋は工事現場のように。 (藤井健太郎「悪意とこだわりの演出術」より)

高須

それはジュニアでやりたかったの?
それとも企画が先だったの?

藤井

企画が先で、ちょっと大喜利っぽい要素が入っていたので大喜利的なものの回しを誰にってところで、ジュニアさんにお願いしました。

高須

へぇ~。それはやってみてどうだったの?

藤井

その時も最初の時(『限度ヲ知レ』)のネタを引っ張り出してきて見たりはしましたね。

高須

だって『水曜日のダウンタウン』も基本そうやもんね。
藤井のあの頃の延長線上に。

藤井

そうなんですよ。結局。

演出家によって違う “言葉”へのこだわりと“画”へのこだわりのバランス

高須

でも俺ひとつ「ああそうか~」って思うことがあって意外と言うか・・・藤井それ言うと嫌がるかもしれないけれど意外と藤井って画とかその場所のロケーションとかあんまりこだわれへんよね。

藤井

あぁ、確かに。そんなに。

高須

なぁ。だからそれが不思議やねん。
意外と楽屋の、よくあるこのシーンだったりとか編集でなんとかなるっていう考えで撮ってるのかなと。
でも普通やったらちょっといい画で撮ろうとかって思うやん。

藤井

もちろん、気にしなくはないですけど、たぶん、画よりも言葉とかの方に意識はだいぶ寄ってますね。

高須

だから作家的な感じで、そのやりとりが面白い現場の方を優先するよね。
“画作り”やったら“リアリティのある会話”の方取るよね・・・って気が。

藤井

そうですね。優先順位はそっち。
なんなんですかね。でもディレクターにやっぱよりますよね。
岡田(秀行)さんとか画をすごい気にするじゃないですか、で、合田さん全く気にしない。

岡田秀行

「気分は上々」で総合演出を任され、その後「くりぃむしちゅー」や    「さまぁ〜ず」の改名企画などを担当。志村けん、内村光良、三村マサカズ、岡村隆史、日村勇紀、田村淳など村のつく芸人の旅番組特番『6人の村人!全員集合』などを担当 ギャラクシー賞、放送文化基金賞テレビエンターテインメント番組奨励賞を受賞

高須

合ちゃんは確かに気にせ〜へんよね。
タカハタさんとか、田中経一さんとか、杉もっちゃん(杉本達)とかもすごい気にしそう。それこそ様式美でガシガシ作るから。

藤井

僕は、どちらかと言うと言葉に寄っている。

高須

そうやなぁ。だからゴーちゃん(合田隆信)に近いかもね。

藤井

ナレーションの文言とかはめちゃくちゃ気になるんですけど

高須

(画は)別に・・・やろ?いや別にって事はないやろうけど。

藤井

でも、ウエイトはそっちじゃないです。
今、言われて気が付きましたけど。

高須

な。(片岡)飛鳥とか画のこだわりとかすごいもん。

藤井

まぁ、決まったポイントでここはこの画じゃないとダメっていうのはあるんですよね。
サイズもそうだし、「ここでこの画を一枚挟まなきゃダメだ」っていうのはやっぱりある。

高須

なるほどね

藤井

こことここはマストでって。
ただ、その間はどうでもいいっちゃいい。

高須

俺作家やけど、妙に画が気になるのよね。
それこそ『気分は上々』やる時に、「定点を使おう」って言うたの、たぶん俺やと思うねんけど。
その当時、ずっと定点推してる番組なんてなかったもん。
車の中の2ショットの画も今は普通やけど、あれすらそうそうなかったのよ。
お笑いウルトラの企画で海にバスを沈める時とか、ドッキリみたいに絶対人が入れないからCCDカメラを用意しておくとかあったけど、普通のやり取りをああやってスタッフが画角に入らないで、客観のCCDの画だけで作る番組がなかったからね。

藤井

それ以外にCCDなんてつける理由がなかったってことですよね

高須

でも、この「CCDっておもろいな~」と思って、全部CCDで撮って、客観で遠めから狙って、全部喋りスーパー入れて。
ナレーションの代わりに縦スーパーでツッコんでみたら、妙な間が面白かったのよ。
でもそのネタ元は松本だったりするのよね。
それもあいつがたまたまガキ(の使い)の時に、「俺、浜田と2人っきりにされたら絶対イヤや~。一億円もらってもイヤやわ~。」って言ったのが面白くて、俺らスタッフも周りに全然おらずに、(ダウンタウン)2人きりで旅せえへん?って言ったのね、でも「絶対嫌!!」って。
それがずっと「おもろいんやけどな~」って頭の中にあって、である時、TBSでウンナンの企画を考えている時にだったら「ウンナンの2人でやってみたいな」って思って、二人旅を定点で撮ったのが始まり。

藤井

これは合田(TBS合田隆信)さんが言ってたんですけど、歌番組のカット割りに関して「お前、歌割りなんて視聴者のときテレビ観てて、気になった事あるか?覚えてる歌割りあるか?ねぇだろ。」って。
確かになるほどなって。

高須

へぇ~。

藤井

大きなシチュエーションは大事だと思うんです。
『ザ・ベストテン』だとしたら、中継をどこどこでやってっていう全体の設定とか、キメになる画はあるとして、あとの細かい画割りの部分、このフレーズでは顔のヨリに・・・とかっていうのはもちろんこだわりがあって、作り手としては詰めたくなる部分ではあるんですけど、視聴者レベルで気になるかって言われたら気にならないじゃないですか。

高須

あぁ~。視聴者の時はね。

藤井

だから、僕も理由がある大事な画や、譲れないカットってのはあるんですけど、そこそこでいい、別に変じゃなきゃいい、って部分も確かにあって。

高須

俺なんかは『HEY!HEY!(HEY!)』をやっている時にそれまでは客の頭入れてる画って歌番組でそうそうなかったしテロップもCG加工されたのが使われてて、めちゃめちゃ新鮮やったなぁそれは城野さんって言う、もう亡くなられた人やけどその人が優秀でゴージャスでラグジュアリーな感じを当時のクラブっぽく暗くして、作り込んでたから、一目見て「わぁ~、すげぇ~」って。

城野智則

『HEY!HEY!HEY! MUSIC CHAMP』 『LOVELOVEあいしてる』『TK MUSIC CLAMP』 『ayu ready?』『堂本兄弟』などを演出。90年代のフジテレビの 音楽番組を支えた。

藤井

僕もテロップとかセットとか最終的な全体のビジュアルデザインはかなり気になるんですけど「この画のサイズが・・・」とかは。

高須

なくはないけど。

藤井

確かに薄めかもしれないですね。

第5話へつづく

ディレクター

藤井健太郎 さん

1980年生まれ、東京都出身。立教大学卒業後、2003年にTBSに入社。『リンカーン』『ひみつの嵐ちゃん!』などの人気番組のディレクターを経て、『クイズ☆タレント名鑑』『テベ・コンヒーロ』等を演出・プロデュース。現在は『水曜日のダウンタウン』の演出を務める。

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