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高須光聖がキク「高須光聖×タカハタ秀太」 第4話

『ASAYAN』や『つんくタウン』『チョナン・カン』『SmaSTATION!!』など、パッと見ただけであの人の演出だ!と気づけてしまうような画作りで強い印象を残すタカハタ秀太さん。ヒットメーカーの印象が強いのに、本人曰く「数字が取れない演出家」だった!?テレビのバラエティから映画に至るまで、高須さんと交わす映像演出にまつわる細かくて具体的なトークの数々は必見です。

インタビュー

第3話

2006.07

タカハタテイスト

高須

音楽はもともと好きなんですか?

タカハタ

いや、ホント普通ですよ。何がどうこうってことはないですけど、
全般的にキライではないし、マニアでもないです。

高須

僕ね、タカハタさんの使う音楽も好きなんですよ。ラブ……

タカハタ

ラブサイケデリコ?

高須

そう! ラブラ……サイ……ラブサイケデ、リコ? ラブサイケデリコ(笑)?
僕、音楽をほとんど聴かないんですよ、でもラブサイケデリコは
いいなぁ~と思ってたんですよね。そしたら『ホテルビーナス』で使われていて。
また、「あぁ~俺好みやなぁ」って勝手に思いながら。
あとね、画にもすごいこだわるじゃないですか。
これはたまたま狙って撮ったものか、ちゃんと備え付けて撮ってるのかわからんけど
あの鳩のシーンとか、猫が穴にがっと入ったりするところとか、
あんなんは別に狙って撮るもんやないやないですか。
(※『ホテルビーナス』をご覧ください)
どうなんです?狙ってたんですか?

タカハタ

狙いましたよ。

高須

わっ、あれずーっと狙って撮ってたんですか?

タカハタ

はい。

高須

そこに鳩が来るのを、ですか?

タカハタ

いや、その街が鳩が多かったんで。

高須

あ~、なるほどなるほど。これ使えるなって現場で思ったんですか?

タカハタ

現場でこれ使えるな~と。全部ご覧になったんですか?

高須

じつは今朝、見たんですよ。

タカハタ

倍速じゃなくて、普通に?

高須

普通にですよ。ここに来る前、見れるところまでしか見れてないんで、
続きがすっごい気になってる状態です…。

タカハタ

そうなんですか(笑)。

高須

もうちょっと早く起きる予定やったんですけど、ちょっと昨日
思いのほか慣れないロケに出て、疲れてしまって。ほんとすみません!!

タカハタ

いえいえ(笑)。

高須

僕、映画がほんまに好きなんですよ。
タカハタさんの作品は、画が好きで見させていただいて。
「なんでこの瞬間だけちょっと変わった感じで撮ってんのやろ?」とか、
「なんでここだけこうする必要があったんかな?」とかね。
だから内容もさることながら、「あ、こういう風に撮るとリアルやなぁ~」とか
「こういうとこでカット変わんのかぁ」とか画も気になってしまうんです。

タカハタ

嬉しいですね。

高須

あと、セットの作り方がいいんですよ、シンプルで。
「この人ちゃんとセットを画作りの中で理解して作ってるなぁ」って。
ああいうセットを作ってくれる人がなかなかいないというか、
僕のイメージではそういう風に伝えたつもりでも、
全然違うものが上がってくることが結構あるので。
タカハタさんの作品にはそれがないんですよ。

タカハタ

ほんとですかぁ?

高須

はい。ちゃんと自分の軸があって、画がちゃんとしてるんですよ。
それでいて細かいっていう。
テロップといい、小細工がキレ~イにハマってくんですよね。
あの小細工はなかなか出来ないですよ。みんなふわっとマネしますけど。
「あ、これちょっとふわっとマネされたな」ってあるでしょ?

タカハタ

はいはい。

高須

ふわっとマネしてるやつは、あんまり深くいろんなこと理解せずに
やってるな~って粗さが目につきますもん。

タカハタ

そうですねー(笑)。

高須

さっきPVやってたのかな? って思ったのは、音の使い方と画のタイミングが
上手いな~と思ったからなんです。

タカハタ

ありがとうございます。
……なんて言えばいいんだ、僕は何を喋ればいいんだ(笑)?

高須

すんません、僕褒め好きなんですよ。

タカハタ

そうなんですか(笑)。

高須

あ、でもこのコーナーに出てもらっている方はちゃんと好きな人なんで。
認めてる人なので、基本的に褒めてしまうんですよ。
だからすごいいろんなこと言いづらいと思うんですけど、
いいんですよ、どーんとしていてくれれば。

タカハタ

はい、わかりました。(苦笑)

高須

でも、意外と僕見てるでしょ?

タカハタ

そうですね、細かいですね。

高須

昔からタカハタさんの作品見てきてたんで。
こんないやらしい進行でいいですか(笑)?
あと『つんくタウン』とか『チョナン・カン』とか、
外国語のテロップが入ってるのがすごく新鮮でしたよね。

タカハタ

『つんくタウン』、あれは映画を扱ってるんでね。
映画のアウトプットは世界じゃないですか。
だからそういうのがあればいいかなぁと思って作ったんですけど。

高須

韓国語ってすごいですよね。いろんなものをクサく見せないでしょ。

タカハタ

クサく?

高須

回想シーンだろうが、例えば『ホテルビーナス』で日本語喋ってると、
なんとなくあの世界観を受け入れられなくなってしまいそうな気がするんですよ。
それで、韓国語ってすごいなと思ったんですよ。
音として、普通は「あれ?この世界って?」って思うのに。

タカハタ

そうなんですよ、実はすごくベタな世界なんですよ。
ベタで、めちゃめちゃウェットなんです。
日本語でやると、とんでもない2時間ドラマとか、それも関西の放送局が作るような
2時間ドラマっぽくなったりするわけですよ。

高須

すっごいわかる。

タカハタ

あと、僕がすごいドライに作るだろうなぁと思ったから、脚本の麻生さんに
あえてウェットにしてくれって頼んで、そしたらあんなことになったんですよ(笑)。

高須

なるほどね。いや、でもあれはやっぱり韓国語の力が大きいですよね。
僕はもともと韓国語にあんまりだったんで、日本語版で見たりしてたんですよ。
でも、ここ最近韓国の映画をしっかり見るようになって、慣れてきたのか
韓国語で聞いた方が入ってくるんですよね、ずっしりと。で、日本語だとクサい台詞が
韓国語だとなんでこんなにスルッと入ってくるんかなぁと思って。
それを日本の作品において、いち早く使ってるのもすごいなぁと。

タカハタ

まぁ、俳優さんには失礼かもしれないけど、
読む映画っていう裏コンセプトもあったんですよね。

高須

そうなんやー。自分で書いて撮ろうとは思わないんですか?

タカハタ

もちろん全然思いますけど。なかなかね、時間的なこともあるし。

高須

どういう流れで、今のようなテイストの映画とかモノ作りになったんですか?
コレ!ってのはないんですか?

タカハタ

ほんっとにね、コレにハマったとかすごい何かに詳しいとかってないんですよ。
この世界に入ってもそんなに……。
まぁ責任感が強いのはあるんですけど、なんだろうなぁ…。
でもフリーになってみて、"誰かがやっていそうなことだけはやるまい"ってのは
絶対ありましたけどね。だから普通に街を歩きながら、
間違い探しをしてたかもしれないですね。ビルにしてもなんにしても、
これは違うだろ、これもこれもって。
排除していくとやっと人格形成できた、みたいな。

高須

なるほどね。あ、俺こっちなんだってね。

第4話へつづく

ディレクター

タカハタ秀太 さん

近年プロフは
「ミエリーノ柏木」(テレビ東京)脚本演出
「黒い十人の黒木瞳」シリーズ(NHKBSプレミアム)脚本演出
映画「原宿デニール」(武田莉奈主演)脚本監督
「赤めだか」演出(TBS 二宮和也 ビートたけし出演 2015年末放送)

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