御影屋

高須光聖がキク「高須光聖×久保田智子」 第6話

TBSで報道からバラエティまで幅広くこなされる久保田アナ。広島の出身で標準語のアクセントを学ぶ過程で相当苦労され、ストレスからじんましんになったりと、アナウンサーならではのいろんな話を語ってくださいました。『ニュース23』での筑紫哲也さんとのお話や、お仕事での失敗にまつわるトークは笑えて学べて、必読です。

インタビュー

第5話

2005.12

私のあの頃[5]

☆アナウンサー、なの?

高須

ま、見事アナウンサーになりました。なって、最初はどうだった?
テレビ局に入ったら、まずはすごいところだと思ってるやんか、
テレビをつくるとこだしさ。

久保田

そうですね。普通の会社じゃないですからね。
あんまり比べるものがないので、会社としてどうこうってことは
あんまり思わなかったですね。

高須

なんとなく、俺のなかではテレビ局入る時ってのは
胃が痛かった。ここでテレビを作ってるんだ、全部ここから生まれてるんだって
くらい思ってたから、ものすごいドキドキしたよ。
で、大阪から東京に行って、やっぱり東京はちがうなあと思って、
東京のテレビ局に入るたび毎回、胃がきりきりした。
番組の関係で毎週、大阪からフジに行ってたんだけど、嫌で嫌で。
ああ、やっぱ違うなと思うと、そのたびに胃がキリキリするもんだから。

久保田

なるほどー。私はあまりそういう感覚なかったですね。
テレビを小さい頃にあまり見てなかったせいかしら?(笑)
素直に研修を受けて、へぇ、こんな会社なんだなぁと慣れていけましたね。
逆に意外と普通の会社だなあっていう印象を持っていったように思います。

高須

なるほど。思ってたよりも、ずっと「会社っぽい」みたいな?

久保田

そうですそうです、テレビづくりしてるところっていうより、
いわゆる「企業」だなって。まずはずっと研修を受ける。
会社とは?から、勤務表の入れ方とか、メールの使い方とか
そういうのから始まって。
そのへんはなんというか、普通の会社と一緒だな、と思って。
その後に、アナウンス部へ配属されたんです。

高須

どうだった?アナウンス部。

久保田

私はアナウンサー試験を受けながらも、
それほど強くアナウンサーになりたいっていう風に思ってたわけではないし、
そのための準備を特別にしていたわけではないので、最初はきつかったですね。
しかも広島に住んでたんで、鼻濁音とか、無声化とか聞いたことも
なかったんですよ。だから、最初はいっつも怒られました。
違うでしょ、ああでしょ、こうでしょって。
アクセント違うから、アクセント辞典で調べなさいって言われるんですけど、
アクセント辞典についてるマークが分からなくて、読めないんですよ。
で、本当にストレス感じちゃって、体全身にじんましんが出たりしました。

高須

うわぁ、それは大変だ。

久保田

手のひらから、顔から、かゆくてかゆくてしょうがなくて。
それぐらいのストレスで。

高須

あ、でも俺、全然ストレスを感じひんくらい強い人やと思ってた。

久保田

そこがピークでしたよ。どっかで切れちゃったんだと思うんです。
今はだからけっこう大丈夫なんですけど。
研修の時点で奈落の底に落とされた感じ。
あんた本当にダメね、って言われ続けてるようで。
一緒に研修してたみんなからも、どうなることかと思ったって
後々言われました。とにかく、アナウンス技術が全くなく、下手だったんです。

高須

いまやそうは思えないけどなぁ。すっごく勉強したの?どうやって克服したの。

久保田

実際に現場に出て聞いたり、覚えたり。
余裕が出てきたら大丈夫だったんですけど、最初の頃はもう、
キャパ越え状態。体中かゆくて、さらにいっぱいいっぱいになっちゃうし。

高須

そうかー、そんな時代があったんだねぇ。

☆目標になるアナウンサー

高須

ちなみにこの人上手いなー、尊敬しちゃうなーってのはどんな人?
他局の人でもいいけど、この人すごいって思えるのは?

久保田

すごくおもしろいなって思うのは久米宏さんはすごいな、と思います。
技術とかだけじゃないんですよね。選挙特番もやってらっしゃいましたけど、
もう「おもしろい」ですよね。別格です。

高須

それはよく分かる。アナウンサーに大事なのは、やっぱり技術より
そういうおもしろさ、なのかな?

久保田

うーん、そういうわけでもないと思うんですけど……なんでしょう。
番組によって違うと思うので、そればかりが全てではないと思います。

高須

なるほど。求められてるものが違ってくるよな。
例えば久米さんについては、もっと具体的に言うとどんなところが魅力的なの?
いろいろ、臨機応変にできるとことか?

久保田

うーん……アナウンサーというよりも、
司会者としてもすばらしいと思うのかもしれませんね。

高須

まあ、そのへんは経験に培われた自信もあるだろうしね。
やってきた自分のキャリアとか、顔に出てる。
女性ではいないの?この人がいいなあ、とか。

久保田

女性だとどこがステキだと思うかな……。アナウンサーとしてっていうと、
けっこう難しいな。私に年齢が近い人だと、単純に顔が好きとかっていう
「好み」もでちゃいますし。
テレ朝の武内さんさん好きなんですよね。雰囲気とか、上品な感じとか。

高須

えーっ(笑)。番組によってはものすごい眉間にしわ寄せてたりすんで?

久保田

そういうところは人間だからいいのですよー。
あ、人間らしさとか、人間くささがある人は好きですね。
アナウンサーとして伝えてるんだけど、そういうのがにじみ出る人は
上手だなーと思います。ただ伝えてるだけじゃないっていうのは、
やっぱり余裕あってこそなせる技だと思います。

高須

そうじゃなければ「天才」やな。天然でできちゃうってやつ。

久保田

あー、かもしれないですね(笑)。

第6話へつづく

アナウンサー

久保田智子 さん

TBSアナウンサー。2000年入社、どうぶつ奇想天外、筑紫哲也ニュース23、報道特集などを経て、2013年から報道局に所属し、外信部、政治部、経済部、ニューヨーク特派員とニュースの現場で取材を経験する。現在は土曜朝「あさチャン!サタデー!」メインキャスター。

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