前半はチンコがプラプラする話が延々と続くのですが、後半になるとプラプラするチンコのことを忘れてしまうほどに、バラエティ&芸人について熱く、正直に語り合ったのが樋口さん回でした。数字ばかりを追いかけるスタイルに物申し、放送作家の華やかさばかりが取り上げられがちだった当時に、ただ熱く熱く、真面目に、おもしろいものを世に残そうと奮闘する……はたらくおっさんのカッコよさが全開です!
取材・文/サガコ
インタビュー
第7話
2004.07自分の個性を建築風にたとえるならば
高須
僕が、樋口君のやり方で巧いなぁと思うのは、
笑いをデジタルにつながないところ。
うまく言えないんだけど、コンパクトにまとめるのがうまいというか、
笑いと笑いのつなぎ目がすごく自然なのよね。
それは、小ネタの使い方がうまいってところにも
関ってくると思うんだけど。
樋口
ほめてもらったから言うわけじゃないんですけど、
例えば映画とか見てても、あんまりストーリー全体を追っかけてないんですよ。
それよりも、ワンシーンごとの小ネタが
すごく印象に残ってたりするんです。
高須
そうそう、小さな笑いとかって、
散りばめたら、バラバラになりかねないのに、
それをまとめて一本の流れにするのがすごくうまいと思う。
そういう部分ってさ、
作家は上になればなるほど見過ごしがちになるっていうか、
ディレクターにまかせってきりにしたりするじゃない。
だけど、実はそんな風な「笑いに統一感を持たせる作業」って
一人の人間が1本の番組通してきっちり担当しないとダメなんだよね。
誰かがギュッ! とひとつにまとめていかないと。
樋口くんがADに人気あるっていうのも、
そういう部分をしっかり指示したりしてるからってのも
あるんじゃないかなぁ。
樋口
そうですねぇ。
僕から見たら、高須さんっていうのは、言うなれば
「設計士」みたいな感じなんですよ。
高須
おっ! これまたうまいこと言うたで?(笑)
樋口
なんていうか、一流の設計士ですよ。
「こういう家にしましょう」っていう図面をきちんと引いて、
みんなにイメージを伝えて、統括する感じ。
そこへくると、僕って言うのはアクセサリー屋っていうか、
インテリア担当、みたいなことなのかな、と。
高須
えぇ~? そう? そういうもん?
僕は樋口くんも立派な設計士だと思うけどなー。
それは謙遜しすぎじゃない?
樋口
でも、なんかアクセサリーっぽいとこ担当してる気がするんですよ。
「あ。そしたらこのへんは、雰囲気作りで
ティッシュでバラの花作って飾りましょう~」みたいな(笑)。
高須
あー、でもわかるわ、それ(笑)。
他の誰にも作れないような、繊細かつ絶妙なアクセサリーを
樋口くんは提供してくれるもんね。
「こんなところに、ティッシュのバラかよ!」みたいなの、あるね。
そういうのが俺にはないから、すごいなぁと素直に思う。
ところで、今は週のレギュラー何本ぐらいあるの?
樋口
えっと、12本ですね。
高須
めちゃめちゃ忙しいでしょ。
樋口
よく言いますね!(笑)
僕なんかよりずっと本数多いじゃないですか。
高須
いや、だって樋口くんは1本の番組に関わる時間が
どれもこれも長いって聞いたよ。
こないだも俺がTBSに夕方ぐらいに行って、駐車場に車とめたら
樋口くんの車があってね。
俺が仕事終わって、やれやれと長かったなぁ~と
夜中3時過ぎに駐車場行ったら、まだ樋口くんの車あってさ、
「どんだけ(ひとつの局に)いるんだよ!(笑)」と。
樋口
いや、それはその時、たまたまですって!
高須
特に時間のかかる番組とかってある?
樋口
ん~……番組に、というより、人ですね。
ディレクターによってかかる時間が違う感じですよね。
高須
わかる。
ディレクターとの巡り会いって、あるからねぇ。
樋口
そーたにさんが言ってた「添い遂げるディレクター」と
「愛人のディレクター」っていうんじゃないですけど、
やっぱりそういう相性とかっていうのはあるんじゃないかと思うんです。
高須
いや、あるよ。絶対あるって。
樋口
やる気があったり、悩んでいるディレクターには
番組を超えてついつい時間を割いてしまうんですよ。
何本も番組を掛け持ちする放送作家を、
そーたにさんは「ディレクターの愛人」という
ウマイ表現をしていましたけど、僕の場合は例えるなら
「本番をさせるヘルス嬢」と言う感じなんです。
高須
あはははは! なるほどね!(笑)
樋口
「みんなにはナイショだけど、実は私、本番OKなの♪」っていう。
高須
あ~、それはファンがつくわ。指名増えるよね(笑)。
なるほどね。
樋口
これがね、ソープ嬢で本番 OKっていうんだったら
あんまり大した事ない感じですけど、
「ヘルスなのに本番できちゃう!」っていうのが大きい(笑)。
高須
お手頃な値段設定だし、なんとも言えないお得感に、
みんなハマっちゃうよね(笑)。
樋口
自分の立ち位置って、そんな感じかな、と。
高須
それにしたって樋口くんのことを悪く言う人に
俺は会ったことないんだよねぇ。
樋口
あのぅ……それはある意味、僕は自意識過剰だからかもしれません。
高須
というと?
樋口
目立ちたい! とかっていう自意識ではなくて、
学校とかだと「髪の毛切ったら、学校行けないっ」っていうような子が
いたじゃないですか。自意識過剰な子。あれだったんです。
本人はすごく気にしてるのに、実際に学校行ってみたら
「あれ…? なんだい? 誰も、俺の髪のことはノータッチ?」っていう。
なんかそういう自意識過剰なところがあって、
好かれたいと強烈に思うところはないんですけど、
嫌われたくない、というのは何だか強く持ってたりするんですよね。
高須
なるほどね。そのちょっとズレた自意識過剰が、
樋口くんの嫌われない秘訣なわけね(笑)。
第8話へつづく
放送作家
樋口卓治 さん
放送作家 1964年札幌出身
CX「笑っていいとも!」「ヨルタモリ」
TBS「金スマ」「ぴったんこカンカン」
テレ朝「Qさま!!」「お願いランキング」
著書「ボクの妻と結婚してください。」「失敗屋ファーザー」「天国マイレージ」(いずれも講談社)