御影屋

高須光聖がキク「高須光聖×樋口卓治」 第9話

前半はチンコがプラプラする話が延々と続くのですが、後半になるとプラプラするチンコのことを忘れてしまうほどに、バラエティ&芸人について熱く、正直に語り合ったのが樋口さん回でした。数字ばかりを追いかけるスタイルに物申し、放送作家の華やかさばかりが取り上げられがちだった当時に、ただ熱く熱く、真面目に、おもしろいものを世に残そうと奮闘する……はたらくおっさんのカッコよさが全開です!
取材・文/サガコ

インタビュー

第8話

2004.07

高須光聖がキク「高須光聖×樋口卓治」

今、やりたいこと

高須

なんとなく終盤ですけど、樋口卓司、現在39歳。
今後、やっていきたいことってどんなこと?

樋口

やっていきたいこと……ですか。

高須

例えば、ずっとバラエティを作っていたいのか、
はたまたテレビではない何かを作ってみたいとかさ。

樋口

そういった仕事のこととは
またちょっと違うのかもしれないんですけど、
以前、高須さんと飲みに行ったときに、
僕は「放送作家の学校をつくりたい」って
言ったことがあると思うんですよ。

高須

うんうん、覚えてる。

樋口

で、この4月からその学校みたいなものを
うちの古舘プロジェクトでやりはじめたんですね。

高須

ほうほう。

樋口

それがね、無料なんです。

高須

えぇっ!? タダの学校!?

樋口

です、です。タダなんですよ。
それはうちの事務所の余裕というか、
懐の深い社長がいるからなんですけども。

高須

それスゴイなぁ!!

樋口

で、無料であると同時に、
その学校の中から生徒を会社にピックアップするってことも辞めようと。

高須

えぇぇ! それじゃ、完全にボランティアじゃん。

樋口

ここに至るまでには、何度も何度も会議を重ねたんですよ。
有料にすべきか無料にすべきか、若手を採用するべきかしないべきか。
何回も会議して、結局は
「受講無料・採用なし」ってところに落ち着いたんです。

高須

それって素晴らしいね~。すごいね。
業界のマザーテレサだね(笑)。

樋口

僕らが徒党を組んでるからこそ、
至った結論なのかもしれないんですけどね。

高須

その決断をした、古館プロジェクトの社長もすごいねぇ。

樋口

ですね。月に何十万かはこの学校のために
会社がお金を使うわけですからね。
でも、これが一番いい答えだったんじゃないかなぁと。

高須

うん、そうだと思う。
だって、掛け値なしにかっこいいもん。かっこいい。
みんなが入りたくなると思う。
すごいなぁ、後進を育てて、テレビ界に貢献してるんだもんね。

樋口

そうですね。そういう風に言ってもらえるとうれしいですね。
ただ受講料とって、若手採用してってのもできたんでしょうけど、
それだとちょっと違うんじゃないかって。
今、放送作家って職業は見られ方が変わってきてるじゃないですか。
放送作家はお金が儲かるとか、コンセプトメーカーだとか……。
そういうんじゃなくて、もっと楽しい職業だってことが
伝わってもいいと思うんですよ。
多分、高須さんの『豪快!御影屋』の会議は、
絶対に楽しかったはずですよね?

高須

うんうん。楽しかった、ホントにおもしろかったね。

樋口

だけど、日経エンタとか読んでる人たちは
そういう楽しさの部分で放送作家を見ることが
できてないんじゃないか、と。
だから、僕らは学校という場で
「放送作家ってこんなに楽しいんだよ」ってことを
ばんばん伝えていこう、と。

高須

それはいいなぁ。
そういう志って、すごく大事だと思う。
結局、自分たちが番組作るときってさ、
自分の中にある原風景だったり、
自分の心の中にある楽しさ・おもしろさとかを
なんとかして伝えたいと思ってるんだと思う。
だけど、そのまま出すのはさすがに恥ずかしいから、
パッケージ化して、付け足して、いろいろ加工して
いわゆるテレビの形にしてたりすると思うんだよね。
『豪快!御影屋』なんて、俺、恥ずかしくてしょうがなかったもん。

樋口

わかります、それ、なんか。

高須

でもさ、その恥ずかしさを突き詰めて企画にして出す楽しさって
絶対にあるわけで。
昔、TBSの深夜番組で「放送作家になろう」みたいな番組があって、
そこに応募して選ばれた若い大阪の男の子がいて、
その子が大好きだったのが『豪快!御影屋』だったんだって。
あの番組を見て、作家になろうと思ったらしい。
で、番組の中で未来の放送作家として選ばれたってことで、
TBSの特番に新人として入ってきたのよ。
その番組には俺もいて、ディレクターは杉本ちゃんでね、
その杉本ちゃんが
「なんでもいいから、ネタ100個書いてきて」っていったら
ヤツはほんまに1週間で100個書いてきたんだよ。

樋口

おぉ~。

高須

悲しいかな、そいつは親の仕事の都合で大阪に帰らないとダメで、
残念ながらそれっきりになってしまったんだけど……。
だけど、なんか「芽」を持ってたと思う。
なによりうれしいのは、そんな風にして、今の時代ででも
「『豪快!御影屋』に衝撃を受けて、あんな番組を作りたいと思って、
放送作家になろうと思った」っていう子に出会えたってことかな。

樋口

うんうん。

高須

言うなれば『豪快!御影屋』は俺の原風景だからね。

樋口

共感してくれたわけですからね。

高須

そう、なんか世代を超えて、ね。
俺はそういう意味で、樋口くんが下の人に好かれてるっていうのも、
どこかで世代超えて繋がってる様な気にさせられる。
自分より一回り下の若い子らが、自分たちの作るものを見て、
共感してくれてるっていうことだと思うから。

樋口

そうですねぇ……。

高須

こないだTBSでね、26歳のADの男の子が、
編成へ企画書を提出したらしいのよ。
そしたら、それが通っちゃって、彼自身が特番のプロデューサーを
やることになったんだって。

樋口

ADが、プロデューサーですか! すごいですね。

高須

もちろん、彼一人で仕切るのは無理だから、
先輩のプロデューサーがついてくれるんだけど、
本質的に番組の企画と押したのは26歳の彼だから、
作家とか演者とかも彼が全部、自分で決めていいわけ。
そしたら、その彼が作家に俺を呼んでくれたのよ。

樋口

うんうん。

高須

なんで俺なのかって聞いてみたら、
彼は『ごっつえぇ感じ』がすごく大好きだったから、
失礼だけど高須さんにお願いしましたって言ってくれてね。
26歳の子が、40歳の作家を呼ぶわけだからさ。
なんだかうれしかったよね。

樋口

そういうの、心意気感じますよね。

高須

日曜日のお昼の1時間番組で、そんなに大きな番組じゃないけど、
でも、俺はやるよって引き受けたんだよ。
心意気を感じたから。
だから、樋口くんがADに好かれてるってことは、
そういう人材を何人も持ってるってことでしょ。
心意気が伝わってるってことだよね。

樋口

僕の周りじゃ、そんな企画通った試しないですよ!
多分、ADも企画が通ると、
途端に真顔で他の作家に声かけそうですよ!
あのアホどもは高級ソープに行っちゃいますって!(笑)

高須

いやいや、樋口くん、そのへんはこの業界の恐ろしいところでさ……。
江藤(「学校へいこう」のディレクター)、今でこそ優秀だけど
あいつはAD時代びっくりするぐらいのアホやったからね(笑)?
だから、樋口くんが今つきあっている、そのアホなADくん達は、
アホであるが故に、将来とんでもなく優秀なディレクターになる
可能性を秘めているってことだからね?

樋口

確かに、江藤はびっくりするぐらいダメダメADでしたっけね……(笑)。

高須

そうそう、だから悲観することない。
アホには可能性がある!(笑)

樋口

そういった意味では、今やろうとしてる作家の学校もね、
世代を越えて可能性が見える気がするんですよ。
若い人達は、僕らに期待して学校に来てる。
そこで、講師の僕らは彼らの期待値以上のものをだして
驚かせてやろうって思う。言い方をかっこよくすれば
向こうとこっちの「期待と裏切りのバトル」がおもしろい。
自分たちもそういう刺激を先輩達からもらって育ってきたわけですし。
だから山名とか、鮫ちゃんにも協力してもらって、
みんなで盛り上げていきたいな、と。

高須

それいいなぁ。良かったら1回、講師に呼んでくれない?

樋口

あ、ぜひぜひ。
ここから輪を広げていこうと思っているので。
あの、生徒を目の前にすると分かるんですけど、
やっぱりみんなちょっと「放送作家」をはき違えてるんですよ。
「放送作家=有名になるステップの一つ」としか
考えてなかったりしますし。

高須

そうかぁ……。そういうのが直に分かる場を作ったっていうことが
俺ら現役の作家にとってもいいことだよね。

樋口

うん、そう思います。

第9話へつづく

放送作家

樋口卓治 さん

放送作家 1964年札幌出身
CX「笑っていいとも!」「ヨルタモリ」
TBS「金スマ」「ぴったんこカンカン」
テレ朝「Qさま!!」「お願いランキング」
著書「ボクの妻と結婚してください。」「失敗屋ファーザー」「天国マイレージ」(いずれも講談社)

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