『電波少年』『ザ!鉄腕!DASH!!』など、ヒット番組に次々携わる田中さんは、高須さんいわく「理論派の放送作家」。田舎で育った経験から生まれた「DASH村」、ヒットを確信した瞬間は○がおりた時!? 幼い頃に見てきた原風景から導き出されるバラエティ企画のリアルな落としどころについての話など、ヒットの秘密がたくさんわかる話が目白押しの回です。
インタビュー
第8話
2007.09自分の意思を伝える方法
高須
ちょっと話が戻ってまうねんけど、
さっき企画は代案がなかったら戻さへんって言うてたやんか。
でもこの歳にもなってくると、やっぱり自分らが引っぱらなあかん
瞬間があるやんか。
昔はそんなん何とも思わへんかったけど、最近それがやりづらいのよね。
そういうとき、田中くんはどんな風にしてんの?
田中
演出陣が聞いてくることに対して答える感じにしますけどね、
基本的にはあまり言わないですね。
高須
なるほどね。基本演出陣がリードしていくっていう感じ?
田中
そうですね。
基本、意見があるときもまずディレクターに聞きますもん。
こうした方がいいんじゃない?とか。
でも、とくに引っぱることはしないですね。
だって、会議でこっちが喋ってて「し~ん」となるの嫌じゃないですか。
高須
そやねん!めちゃめちゃ、嫌やねん。
田中
だから、誰かに何か喋らせないと。
高須
それを演出に任せてんねんや(笑)。
それで、空いたところをどんどん埋めていってんねんな。
田中
そんな感じですね。
高須さんはそういった部分、頼られてるキャラなんじゃないですか?
高須
どうなのかね。演出でも喋る人はええのよ。
でも、そうじゃない人もいてるやんか。
「これどうしましょう?」ってすぐ聞いてくる人もいてるやん。
そんなときは自分が決めて喋らなアカンし、しんどいなあと思って。
30歳前半の頃みたいに好き勝手言うてる方がラクやったなあって(笑)、
最近とくに思うのよね。
田中
そう考えると、僕はまだ勝手なこと言ってるかもしれない(笑)。
高須
うわ、ごっつええやん!ええところにおるやん、もう~。
田中くんは編集所にも行ったりするもんね。
それはここぞっていうときにだけ、行ってるの?
田中
そうですね。連絡が来たときとか。
あんまり行くと向こうが嫌がるのかもしれないですしね。
ディレクターがもう僕よりもみんな年下だから。
高須
でも、(編集所に)行ったら意見言っちゃわない?
田中
言っちゃいますね。でも、その場で言わずに書いて渡しますね。
こう思ったけど、どう?って。あとは任すからって。
高須
うわ、えらいな。大人だなあ。
田中
いやいや、それは自信がないからでしょうね。
高須
いや、そんなことないわ。大人やわ。
俺やったら、「なんで、この画撮ってないの?」とか愚痴ってまうもん。
田中
それは言わないようにしてますね。
その代わり、出来上がったものに関して、それが何とかなるなら
こうした方がいいっていうのは伝えますけどね。
だから、なかなか細かいところまで伝わらないときもありますよ。
第9話へつづく
放送作家
田中直人 さん
1964(昭和39)青森県木造町(現・つがる市)生まれ。
青山学院大学3年在学中より伊藤輝夫(現・テリー伊藤)の下で放送作家に。
初めての番組『コムサデとんねるず』(フジ)
好きなもの:猫・温泉・演劇・ラグビー・アーモンド・辛くないカレー