御影屋

高須光聖がキク「高須光聖×杉崎美香」 第5話

明け方まで仕事をすることも多い業界では、寝る前の早朝番組『めざにゅ〜』で杉崎さんの「これからおやすみになる方も〜」のやさしいボイスを忘れがたい人も多いのでは? 取材のこの日も朝が早い杉崎さんの生活スタイルに合わせて、少し早めの時間からワインを飲みつつ語らいました。愛するラジオのお話や、鼻歌交じりの音楽トーク、早朝番組の苦労話など。
取材・文/竹村真奈

インタビュー

第4話

2006.04

高須光聖がキク「高須光聖×杉崎美香」

☆念願のラジオ番組

高須

でも、そうやっていろんなところの試験を受けて、
最終的に信越放送に入ったんや。

杉崎

そうですね。

高須

最初についたのってなんて番組?たぶん聞いても分からないと思うけど。

杉崎

最初はテレビで中継をやらせていただいたりして、
入社半年目で念願のラジオのえ~と……

高須

忘れてるやん(笑)!そこやりたかったんでしょ(笑)?

杉崎

あれ?ちょっと待ってください(笑)。お昼の……『ラジオどんぶり』!

高須

いかにも地方局にありそう(笑)。
プロフィールに“ラーメンを食べ歩くなどしていた”って書いてあるけど?

杉崎

そうなんです。知る人ぞ知るラーメンリポーターだったんですよ。

高須

ラーメン通なの?

杉崎

わりと(笑)。これはなにとなにのダシを使ってますね、とか
麺は生麺か乾麺か、とか。東京にきてからも『めざにゅ~』で
1年くらいラーメンリポーターをやっていたんですよ。

高須

東京だとどこのラーメン屋がおいしいの?

杉崎

東京のラーメン屋でおいしいところ……ん~~…

高須

厳しいねぇ(笑)。東京もラーメン屋いっぱいあるよ?そんなにダメ?

杉崎

九州の久留米ラーメンが好きなんですよ。博多ラーメンは
牛乳みたいな白いスープだったりするんですけど、久留米はもっと
ドロッとしていて、味が濃くて醤油とんこつっぽいんです。
白いスープとも違う、とんこつを濃くした感じの…

高須

じゃんがらではない?もっと濃い?

杉崎

はい(即答)。

高須

わ、もっと濃いんだ!

杉崎

そうです、それをお酒を飲んだ後に食べたくなるんですよ。

高須

うわ~それはもう大変や。飲んだあとのラーメンって、
翌朝になんで食べたんや!?って怒りがくるよね(笑)。

杉崎

でも、それがもう爽快というか、全然残らなかったし。
最近、食べてないんでわからないですけど、九州だとそれがもう当たり前なので。

高須

スープも全部飲んじゃうの?

杉崎

結構飲みますね。あ~、でも4分の1くらい残すかな。

高須

で、そんな仕事をしながら、入社して半年で念願のラジオにいって…

杉崎

先輩と一緒にその『ラジオどんぶり』という番組をやって、
その後の1年間はテレビとラジオ並行で6時間のワイド番組をやっていたんです。

高須

それめっちゃ大変やん!

杉崎

大変ですよ~。

高須

なに?それは原稿がちゃんとあるの?

杉崎

いや、もうほとんどフリーですね。

高須

こういうことがありました、って情報やニュースだけ渡されるの?

杉崎

そうですね、あとは討論とか。何かひとつのテーマにそって意見を寄せてもらって。

高須

それも台本ないの?

杉崎

ないですね。下調べが大変でした。討論のテーマも柔らかい
ネタだったらいいんですけど政治的なネタだったりするので、
何日も前から調べていろんなこと勉強して、それをまとめて、
原稿用紙3枚分くらいの資料を作ったりして。あとは専門家の方に
電話で聞いたりとか。それを自分1人ではなく、先輩と一緒に
やっていたのですごく勉強になりました。

高須

俺は最初のラジオの仕事は構成として入ったんやけど、言葉だけあれば
なんでも伝わるんやと思ったときに「ラジオってすごいな」って心底思ったのね。
喋りの上手い人はやっぱりすごいじゃない。話がもつし、よれないし、
戻すのも上手いし。すげーなぁ、毎日やってれば実力つくもんなんかなぁって。
でも、それを6時間やってたんでしょう?それはすごいことやで!

杉崎

はい、もうかなり勉強になりましたね。自分一人だったら絶対
できないっていうことも、先輩はどうやってるんだろうっていうのを
すごい見て勉強しましたし、意見を求められたときはつねに返したいし、
返せなかったときは「もっと引き出しを作らなきゃ!」と思ってましたね。

高須

生でしょ?

杉崎

生放送ですよ。面白い反面すごく怖くて。リアルタイムで
反応が返ってくるし、こういう言い方はやめた方がいいとか
ディレクターにすぐ言われるし。

高須

どういうことを注意しろってよく言われたの?

杉崎

いろんな人が聞いてるということを忘れるな、と。
なにを喋るにもいろんな人が聞いてるって分かって喋るのと、そうじゃなくて
喋るのとでは違うからっていうのをよく言われましたね。
でも私、失敗したりしても基本的に忘れちゃうんですよ(笑)。

高須

意外と自分の失敗に甘い?

杉崎

甘くないですよ。そのときはもうめちゃめちゃ凹んで、ひとつひとつ
反省して、直していってるつもりではいるんですけど、自分で言うのも
なんなんですけど、すごくマジメなんです。

高須

たしかにマジメだと思うよ、うん。

杉崎

だから、それを一個一個覚えてたら、もうこの世界にいられないんですよ。
もうホントにきっちりしぃだし気にしぃだしで。

高須

そうやなぁ。

杉崎

めっちゃめちゃ気にしてしまう方なので、リセットするか忘れるかしないと、
なにも入らなくなってしまうというか。

高須

あんまり大きな失敗とかもないやろ?

杉崎

多分ないですね。でも例えば、ほんと細かいことでいうと、長野で
「私はイナゴが嫌いです」って言うとするじゃないですか。
でも、長野ではそれを佃煮にして生計を立てている人もいて、
テレビなりラジオなりでそれを言うことによって、
影響を受けてしまう人もいるんですよね。
だから、「苦手」はいいけど「嫌い」はダメ!とか、そういう注意は受けました。

高須

あー、まぁ確かにね。

杉崎

私が喋るうえで一番意識しているのは、自分がどう思われるかよりも、
なるべく傷つく人が少ないように喋りたいって思う方が強いですね。

高須

なるほどなー。
そういうのも、昔のいじめられた時の教訓がいきてるんだよ、きっと。

第5話へつづく

アナウンサー

杉崎美香 さん

身長158cm。出身地 大分県。出身校 山口大学 人文学部言語文化学科。
略歴:2001年信越放送にアナウンサーとして入社。テレビ・ラジオ番組で活躍。その後フリーランスに。星座さそり座担当番組めざにゅ~(フジテレビ)

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