御影屋

高須光聖がキク「高須光聖×杉崎美香」 第6話

明け方まで仕事をすることも多い業界では、寝る前の早朝番組『めざにゅ〜』で杉崎さんの「これからおやすみになる方も〜」のやさしいボイスを忘れがたい人も多いのでは? 取材のこの日も朝が早い杉崎さんの生活スタイルに合わせて、少し早めの時間からワインを飲みつつ語らいました。愛するラジオのお話や、鼻歌交じりの音楽トーク、早朝番組の苦労話など。
取材・文/竹村真奈

インタビュー

第5話

2006.04

高須光聖がキク「高須光聖×杉崎美香」

☆ラジオはそれが面白い!

高須

ラジオ放送中にすっごいケンカしちゃったことあるんだよね。
深夜0時~3時のMBSの生放送でさ、僕とプロデューサーが2人で話してるっていう。
あと、音楽かける人もいたかな?そうや、3人や。で、3人でやってるんだけど、
ほぼ2人で喋ってたわけよ。4月くらいで、受験失敗した人がどうのこうのって
進路の話をしてるときに、「(将来的に)なんもやりたいこと決めてないなら、
とりあえず今は勉強しときなさい」っていう人と、
「いや、やりたいことは必ずあるはずだから、それを考える時間にしなさい」
っていう2つの意見に分かれてさ。
俺は考えないとダメだと思ったの。とりあえず勉強ってのはないんじゃない?って。
できるだけ早く考え付いた方がいいと思ったの。
でも考えつかない人は、とりあえず勉強したほうがいいって、その人は言ったの。
まぁ、どっちもあるのよ。その時間がもったいないから勉強しろっていうのも、
全然わかるんだけど……でもこれがもんのすごいエキサイトしちゃって、
生放送中っていうのに、ケンカになっちゃったわけ(笑)。

杉崎

それだけ真剣な証拠ですね(笑)。

高須

ビックリするくらいよ。1時間半くらいケンカしてたんやから。
しかも完璧に聴いてる人のこと忘れて、二人で延々と言い合ってるわけ。
でもその日の反響がすごくて。今だからそれは思うんやけど、
言葉に詰まる瞬間も面白いし、何かを言い合ってる人のリアルなケンカを
見られるわけだから面白いんだよね。答えがないことを喋ってるし。
でも、終わったあと僕らはすごい落ち込んだの。

杉崎

すごくわかります。

高須

でしょ!で、局のすぐ近くに屋台があって、そこで朝まで飲んでいて
とことん落ち込んで、なんであんなことで…って。その話を鶴瓶さんにしたら、
「ラジオはそれが面白い!自分ひとりで聴いてるからこそ、そういうパーソナルな
話ほどいいんや。全員に聴いてくださーいっていう話は面白くない」って言われたのよ。
だからさっき、いろんな人が傷つかないようにっていう話が出たけど、
みんなに向けての話はテレビでいいと思うのよ。ラジオはもっと個に向けて
届くもんやから、そういう話は密に届いてるって。

杉崎

私も本当は、いきたいところはそこなんですよ。

高須

だよね、ラジオ好きならね。

杉崎

そうなんです。ラジオはやっぱり個人に向けて私たちが投げかけて
いるものであって、すごいパーソナル。パーソナルで投げかけたはずが
意外にいろんなところで反響を及ぼしたりしているっていうのは
自分も聴いている側の実感としてあって。私だけに向けられているわけではないはずなのに、
向けられてる気持ちになるというか。それが「ラジオ」と「テレビ」の違うところだと
思うんですよ。今はアナウンスの基礎を勉強していて、言葉自体にすごく興味があるので、
すごく楽しいんですけど、やっぱりいずれはラジオがやりたいですね。
それはもうず~っとあります(笑)。

高須

ラジオ楽しいもんね。

杉崎

楽しいですよ~。私、ブースの中にいるだけで幸せですもん。
喋ることもそうですけど、ブースの空間がすごく好きで、
なんかすごく落ち着くんです。イヤなことがあったときも、
1人でブースに行ってしまうくらいで(笑)。

高須

えー!それはなにしに?ぼ~っとしたりとか?

杉崎

とりあえず座って、マイクに向かって「あー」って。マイクとか、
時計の感じとか、すごく好きで。

高須

ラジオ好きな人って多いよね。俺はラジオは聴いてなかったけど、
ラジオの世界はなんか好きなのよね。その理由は、例えばビートたけしさんや
さんまさんもすごい売れてるときにラジオをやっててさ、正直ラジオのギャラなんて
テレビに比べたら、たいしたことないわけよ。
喋ってるパワーはテレビとなんら変わらないんだけど、
なんかテレビにはない、お金ではない何かがあるのよ、ラジオには。
あれなんなんだろうね、不思議な魅力だよね。

杉崎

不思議ですよね!うんうん。

高須

そういう意味では、テレビには出なかったユーミンが
ラジオなら喋るっていうのもわかるんだよ。価値観だよね。
顔見られると本心見られるじゃない?
でもラジオは顔が見られないから、イメージでガンガン伝わってくるし、
テレビだと企画たてて、セット作って、ロケに出て、素材を編集して、
MAで音つけて出さないとだめだけど、ラジオって簡単だもんね。
もっというとその瞬間にどうにでも変えられるからね。
ドキュメンタリーが続くもんね、ずっと。

杉崎

すごく人間っぽいというか。

高須

そうそう。いくら飾っても飾りきれない自分が出ちゃうし、出したほうが
面白いんだよね、きっとね。

杉崎

なんなんでしょう。ラジオには不思議な魔力があるんですよね。

高須

だってね、ラジオってメディアとしてはすごく弱いわけよ。
ほとんど聞いてないと思うよ?あ、でも今はアイポッドとかで
ポッドキャスティングができて、好きな時間に持ち歩いて聴けたりするか。

杉崎

でも、好きな時間に聴けるっていうのも、どうかと思うんですよ。

高須

起きてないと聴けない、みたいなね。

杉崎

そのときじゃないと!っていう思いがあるんですよね。
手軽にストックできるっていう時代もなんだかなぁって思うんですよね。
もちろん聴きたいときに聴けるっていうのはいいんですけど。
でもそのときそのときの自分の生活にたまたま入ってきたっていうか、
自然の感じが私は好きなんですよね。

高須

生のほうがいいよね。それはわかる。テンションも違うしね。
生はやたらテンション上がるし(笑)。ちょっと話が前のめりになるもんね。

杉崎

私、長野のときも収録はほとんどやったことないんですよ。
単発ではありますけど、ほとんど生で。

高須

すごいねぇ~!生で対応できるってすごいことだよ。

杉崎

その経験でかなり鍛えられましたね。テレビでも一人喋りの番組を
やっていたんですけど、今考えるとあり得ないですね(笑)。

高須

ラジオでもさ、一人で喋るのって難しくない?
聴いてくれる人の目線がちょっとでもあればいいんだけど、何もないと喋れないよね。

杉崎

そう、難しいですよね。

高須

テレビ(『めざにゅ~』)でもずっとほぼ一人で喋ってるでしょ?
あれはどういう気持ちで切り替えて喋ってるんだろうなぁと思って。すごいよ、あれは。

杉崎

だからもう、カメラさんとADさんが第一の視聴者ですね。

高須

その反応を見て、テンポ作って喋ってるんだ。

杉崎

そうですね。だからそこにウケなかったら「私ウケてない!」とか思って…

高須

別にウケなくてええから(笑)。ウケは求めてないから大丈夫、大丈夫。

杉崎

私ね、ダメなんですよ。笑ってもらいたいんです(笑)。

高須

それはまたトラウマやね。小学生のときの。
可愛いんだから可愛いキャラでいけばいいのに!

杉崎

いやでもホントに『こいつおもろいなぁ~!』って言われたほうが嬉しいんです。

第6話へつづく

アナウンサー

杉崎美香 さん

身長158cm。出身地 大分県。出身校 山口大学 人文学部言語文化学科。
略歴:2001年信越放送にアナウンサーとして入社。テレビ・ラジオ番組で活躍。その後フリーランスに。星座さそり座担当番組めざにゅ~(フジテレビ)

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