御影屋

高須光聖がキク「高須光聖×そーたに」 第2話

雑誌企画から放送作家の道を拓いたそーたにさん。ほのかにふわんとした狂気を感じる対談でもありました。テリー伊藤さんの持つ「眼」の凄さについて、そして「放送作家として考える病」に罹患している僕ら、という話がとても刺激的です。そしてラストには、高須さんからのたっての要望で「そーたにさんオススメの映画選」のオマケ付き。

インタビュー

第1話

1999.06

『炎チャレ』での出会い」

そーたに

あの、てれくさいですね…。

高須

てれくさいやろ。中野くんも言ってた。

そーたに

これは、ええ、てれくさいですよ。

高須

中野くんも最初
「何でしょ…何を話しましょー、困りますねー」てずっと言ってたもん。

そーたに

おろおろしてますよ、僕。

高須

いやいや、大丈夫です。中野くんもそうだったけど、いざ文章になったら
そこそこ喋れてるようになってるから、大丈夫。

高須

作家論をね、作家同士で話そうかーという趣旨のコーナーなんですけどね。

そーたに

はい。

高須

でも、俺とそーたにくんも一緒に仕事しだしてからっていうのは
そんなに長くないのよね、不思議なことに。
中野くんもさることながら、そーたにくんとも付き合いそのものは
短い方に入ると思う。一緒に仕事しだしたのは…

そーたに

多分、三、四年前ですよね。『炎チャレ』がきっかけでしたし。

高須

でもね、一緒に仕事でということになればそのぐらい前だけど、
本当はもっと以前に挨拶はしてるのよ。
確か、日テレの制作の前かなにかですれ違った。

そーたに

あっ、それ僕も覚えてるんですよ。

高須

なんか知らんけど、上の人に打ち合わせで付いていってたら、
たまたま玄関前ですれ違ったのを「あ、こっち、そーたにくん」と言われて、
「こちら、ガキの使いとかやってる高須くん」と紹介されて、
あ、どもどもー、とね。

そーたに

そうですそうです。僕、すごく緊張したんです。だから忘れずにいたんです。
でも僕は、高須さんは(この出会いを)覚えてないんだろうなと思ってました。

高須

いやいや、覚えてるよ。俺もすっごい意識したもん。
これが『(天才たけしの)元気が出るテレビ』を作ってた人かー、と。

そーたに

(笑)。でも、その後、ぱったり会わなかったんですよね。
で、いろんな流れがあって『炎チャレ』で高須さんと一緒の仕事になる、
ということになってからの一番最初の会議の時っていったら、
もうむちゃくちゃ緊張しましたもん。

高須

なんでよ(笑)。

そーたに

いや、それは緊張しますよ。絶対しますよ。
僕、恥ずかしながら、未だに打ち解けてないスタッフの人とか、
居たりしますもん。

高須

なんでよ、いっぱい会ってるやん。何百回も会議してるし(笑)。

そーたに

いやー、緊張しちゃって…。
新しいADさんが会議に来ただけで、もう心臓バクバクしてダメだったりしますし。

高須

あー…それはたまに見ていて分かるなぁ。
『ぷらちなロンドンブーツ』に新しいADの人が入ってきた時も、
ものすごーく(会議室の)後ろの方、気にしてるもんねー。

そーたに

それが女の子だったりした日には、もう。

高須

もうたまらん、と。(笑)

そーたに

(笑)。そうでなくても気にしてしまいますね。
ダメなんですよー、ホントに緊張癖っていう感じでして。
今も少しですけど、緊張してまして。

高須

マジで!? やー、もう、楽にしてね。

高須

そういえば結局そーたにくんとちゃんと話が出来たのって
『炎チャレ』が始まってからだよね。

そーたに

それも確か…あれです、台湾料理屋行ってからですよ。

高須

あーーーっ!! はいはいはいはい、あの時ね。(インタビュアーに)わかる?

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いえ、全然話の筋は見えてないです(笑)、台湾料理屋の流れからご解説を。

高須

あのな、『炎チャレ』の作家陣で、何人か連れだってご飯食べに行ったのよ、
台湾料理屋へ。中野くんも居ったと思うけど、とにかくみんなで仲良くなろう、
話をしようという趣旨でね。それでも結局は仕事の話を多めにしてたもんやから、
プライベートな話まではそんなに到達しなかったんよな、結局。
そういう意味では、行った割に打ち解けきれなかったというか…。

そーたに

でもね、僕、仕事の話するのが好きだったりするんですよ。

高須

俺もそう!!仕事の話をね、そういう食事の席では、
楽しい仕事外でのコミュニケーションなんだからしてはいけない、
と思ってみるんだけど、「どう、最近遊んでる?」と話題を出しても
「いやー、仕事仕事ですね」という答えが返ってきてしまうわけじゃない(笑)。

そーたに

そしたら必然的に仕事の話になってしまうでしょ。
で、僕はそういうの嫌いじゃないんですよ。

高須

そうそう、どっちかと言ったら俺も好きなぐらいだよ(笑)。
「どこの番組のディレクターがあ〜だ、こ〜だ」とか
「あの番組のなんとかというコーナーが面白かった」とか
「こっちの番組のこういうところを、あの番組は上手くパクっているぞ」っていう
話の流れになってしまうもんな、絶対。

そーたに

最近ね、僕はあんまり飲みに出かけたりしないんですよ。
どうして行かないかっていうと、そういう飲み会という場所で行われる
情報交換の量がすごすぎて、目の当たりにした瞬間「うわあぁぁっ」って
おろおろしちゃって、もうそれがイヤなんです。

高須

あー、前も言ってたね。膨大な情報量に「わーっ」と混乱してしまうって。
いつだったかな…『炎チャレ』のパーティーの時や。
『炎チャレ』が終わって、みんなで打ち上げしようって行った時や。
俺と、そーたにくんと、おちくんと、中野くんと、すずきB…
とにかくそういうメンツでぶわあぁあっ、と一斉に飲みながら話をして、
そしたら後日そーたにくんから俺のところへ来たメールに
>>みんな会話のスピードが速くて、びっくりびっくり!!
って書いてあった。(笑)
「俺もそう」という返事をしたんだけどね、そのメールには。  
いや、でもあれはみんながすごいんじゃなくて、おち君がすごい。すごかった。

そーたに

あー、そうかも。(笑)

高須

おちくんの情報量、半端じゃないもん。
「最近こうらしいよー、高須さんー」って「らしい」「らしい」の連発よ?
もらうメールには大概、俺の知らない情報入ってるもん。
「こうらしいですよー、こうらしいですよー」って。そいで、会議とかの前後に
「アレがこうでこうで、ああらしいんですよー。
 だからねー、会議でガツンと言ってくださいよー、高須さんー」って(笑)。
なんで俺がそれを言うようなことになってるのよーっ!!っていう(笑)。

そーたに

そうそう、いつの間にか奇妙な年功序列ができあがっちゃってて(笑)。

高須

おち君は、
「僕には言えないっすよー。言えないっすー、だからお願いしますよ、高須さん〜」
って、俺は「ええーっ!?」って叫んで。そんなんばっかり。
困るんよ、俺に言われても(笑)。

そーたに

そいでたまに、おちの意見のはずが、うんと頷いた瞬間に気がつくと
「僕らみんなの意見」になってて(笑)。

高須

オイオイ、ちょっと待てーっ! っていう、あの瞬間ね(笑)。
勝手に複数形になってたりするもんなぁ。

そーたに

もう驚きを通り越して、おもしろくって。(笑)
ま、それで助かってる部分も結構あるんだけど。

高須

ほんとに笑うよなぁ(笑)。

高須

話は前後するけど、そーたにくんって、教師になるつもりだったんでしょ?

そーたに

そうです。燃えてました。

高須

聴いた時に意外だった。

そーたに

『元気が出るテレビ』の作家予備校っていう企画が、テレビと雑誌の
『宝島』の二つに載ってて、僕はその宝島の方を弟づてに聞いたんですね。
「放送作家」という職業自体はたけしさんのラジオとか聴いてて何となく知ってたし、
それでまあ応募してみたんですが、半年ぐらい経っても全く音沙汰がなかったんですよ。
だから僕はそのまま教師の道に進もうとしてたんです。

高須

もう教育実習もやってたんでしょ。

そーたに

そうなんです、実習が決まってて、実際その実習に行くぞ、という直前に
書類通過の人たちだけを集めた2次審査みたいなのをやりますから、と電話で
呼び出しがあったんです。で、また3次審査みたいなのがあって、
その次からはその残ったメンバーで2ヶ月位、
会議というか企画の発表会みたいなのがあって…。
その期間中に、僕は教育実習にも行ったんですけどね。

高須

その発表会期間に出した企画って覚えてる??

そーたに

いやぁ〜……最初のはもう、企画とも企画書ともつかないような。
あ、今で言う「企画書」であって、決して「企画」では無かったですね。

高須

あー、何を書いていいのか分からないから、
コンセプトからきっちり書いてしまってるんや。

そーたに

そうですそうです。時々、今でも新人の子でいるじゃないですか。

高須

居る居る。ものすごい手前から書いてくる奴いるもんなぁ。

そーたに

で、「誰々と誰々の顔合わせ」とか。
いや、そりゃ実現すればおもしろいけどそっから先はっ!?ていう。
どっちかと言えば、そういう感じのことを1番最初の時は書いてしまってたと思います。
当時は「ネタ」と「企画書」の差が分かってなかったと思いますね、やっぱり。
でも、その時は割とみんなそうでした。
みんながその後のCXの深夜みたいな事を書いてましたね。
だって当時の『宝島』を見て応募した連中なわけですから。(笑)
僕なんか『元気』ですら観てなかったし。(笑)
だけどあの頃のは、新番組としては面白かったと思います。
あまりに非現実的で。(笑)

■放送作家基礎知識■ 「企画」と「企画書」の違いとは??

「企画」と「企画書」。たた一文字の違いだけど、それって何が違うんだろう? パッと見は同じように見えますよね。というわけで、素人視点で少し調べてみました。 「企画書」 主にテレビ局の編成(番組を作るかどうかとか決める部署)へ提出する 番組全体の流れを書いた文書。新番組を作る時、どういう層へ向けて 作るのか、どんなタレントを起用するのか、仮のタイトル、コンセプト など、とにかく番組全体の説明書のようなものを指す。 「企画」「ネタ」 作家さんが毎週出されるお仕事がコレ。通称「宿題」。 番組が既に存在して、その中で展開されるコーナーなどの細かい案を 「企画」とか「ネタ」などと呼ぶらしい。 具体的に言うと「未来日記の次の設定は?」など。 つまりは「企画書」が弁当箱・メニュー名で、 「企画」というおかずがそこに詰め込まれていく、という感じですね。

第2話へつづく

放送作家

そーたに さん

1964年生まれ。石川県出身。
現在、「アメトーーク」「ロンドンハーツ」「世界の果てまでイッテQ」「マツコ有吉の怒り新党」「ミラクル9」「有吉ゼミ」「ワイドナショー」「ビートたけしのTVタックル」「さまぁ〜ずさまぁ〜ず」「関ジャム」「内村さまぁ〜ず」など十数本の番組を手掛ける。

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