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 一回目ゲスト 土屋敏男さん(TOSHIO TUCHIYA)
名前 土屋敏男 さん
1956年9月30日生。 静岡県出身。
日本テレビ放送網株式会社 チーフディレクター 。
1979年に日本テレビに入社以来、 主にバラエティー番組の演出・プロ デューサーを担当。「進め!電波少年」ではTプロデューサー・T部長として出演 。他に「ウッチャンナンチャンのウリナリ!」など。ATP特別 賞、日本 文化デザイン賞など受賞多数。
日テレ・HP http://www.ntv.co.jp/
第6回  才能は枯れるか?
■ふりきって当てる■
土屋 フジテレビの横澤さんの『ひょうきん族』だって 完全に「ふりきって当ててきた」。
TBSの貴島誠一郎だって、最初の大ヒットは『ずっとあなたが好きだった』っていう、
あのマザコンドラマ。こぼれ球、というとおかしいかもしれないけど
「そんなの当たんないって!」というドラマだった。
本当は、あんな風にやるつもりじゃなかったんだって(笑)。
彼はロミオとジュリエットをやろうとしたんだってよ。
高須 えーーーっ。全然ちがいますやんか〜。
土屋 土屋 そしたらば、初回のロケで、 冬彦さんが指を怪我するシーンがあったと。
野際さん扮する母親が、いい歳した息子の指を 「だいじょうぶ?」って
パクッとくわえるのを アドリブでやったらしいんだ。
すると、これを見た貴島は「これがおもしろい!」ってんで
一気にそこからマザコンドラマに方向転換したんだって。
高須 なるほどねぇ。 まさに偶然ですね、こぼれ球ですよ。
土屋 そしたら「あらっ、すげぇ当たりになっちゃったぞ!」って いっちゃったらしいんだよね。
『ダブルキッチン』の当たりにしてもそうだけど、
彼はけっこう志が先に行って、当ててるんだよね。
現場に戻って、彼が言った 「なんでドラマに稲妻サーブがないんだ!」って一言。
だけど、そういってる貴島はかっこいいし、 自信に満ちているんだよ。
そしたら、なんか当たりそうな気がするんだよね〜。
高須 そんなん見てたら 「俺も当てたいなぁっ!」ってなりますよね。そうかぁ…。
「志系(こころざしけい)」で突き進むと、 ちょっと無茶なこともするわけじゃないですか。
そうやって無茶をしようとする人間には、 さっきの野際さんのアドリブみたいに
何かしらのヒントを神様がくれるんだと思うんですよ(笑)。
そこをつかまえる!!
この、ちょっとのところの揺らぎみたいなもんを
「あーーーっ、これこれっ!」ってつかまえられるかどうか。
土屋 でもねー、それって結構逃しちゃうんだよ〜。
高須 ですよねぇ、逃しちゃうんですよね。
僕はヒッチハイクだって、きっとどこかにネタはあったんだと 思うんです、今までだって。
で、国内でやってみたらおもしろくなくってやめちゃったとか、 そんなんやと思うんですよ。
逃してるんですよ、それって。
ヒッチハイク=場所がどんどん変わる移動感、だと 思ってしまって、
それがなければ成立しないって思ったのが 『電波少年』以前だったんでしょうね。
本当はそうじゃなかったんですよね、
人の表情の機微こそが ヒッチハイクのおもしろさだったんですよ。
そこをつかまえられたっていう、ね。
土屋 ヒントをつかまえられるか、見逃さないかどうか。
若い連中にいろいろチャレンジさせてると、
最初の振り切るチカラがどんどん弱まっていくのが 分かるんだよ。
 
■いいAD、いいディレクター■
高須 ADからディレクターへ進化するのって、時々びっくりするような奴がいますよね。
びっくりするような変化を遂げるような奴が。
「あれー、あいつすっごいへっぽこADだったのに、
  いつの間にこんないろんな理解力と技を見につけたんだろう」
と驚かされることが最近多くなりましたね。
土屋 いいADっていうのはさ、いいプロデューサーにはなれるんだよ。
でもね、意外といいADは、いいディレクターにならなかったりするんだよね。
高須 ははぁ、なるほどねー。
土屋 逆にだめなADがいいディレクターになったりするんだよ。
高須 そうか…それっていうのは、大振りできるかどうかってことですか。
土屋 そうそう。 だめなADってことは、結局気配りとかができてないんだよね。
その分、大振りの可能性は秘めてるんだと思う。
気がついて、気がつきまくって仕事がスムーズにできるADってのは、
プロデューサー向きなんだよね。
高須 なるほどねーー。
土屋 いいディレクターってのは馬鹿だからなー!(笑)
高須 確かにそうですわ(笑)
土屋 「お前って変だよなぁ〜」
「えっ、いったいどこが変なんですか!?」って奴(笑) わかってないんだよね〜。
今「ビデオ・オンデマンド」で社長やってる高橋がなりは
元気が出るテレビでADやってたんだけど、 それはもう、ものすごーく完璧なADだったよ!
高須 へーっ、そうだったんですか!!
土屋 で、ものすごくいいADで、ディレクターデビューしたんだけど、 これが最悪だったのよ。
あいつは社長向き、プロデューサー向きだったわけよ。
高須 なるほどなぁ。 作家にも伸びる奴って、いると思いませんか?
ある時突然に「あれっ」と思わされる奴。
土屋 いる。いるね。
高須 僕はずっと、それを不思議に思っていたんです。 これって何なんだろうって。
そしたら、糸井さんのHPで脳の「海馬」について語られたコンテンツがあって、
僕はそれを人づてに聞いたんですが、 睡眠は六時間以上取らないとだめなんですって。
そうしないと、寝てる間に脳が情報を整理しきれないんだと。
そして、情報の連結力っていうのは30代になってから養われるんだと。
だからー、今までだめだった奴でも、いっぱい寝てると(笑)
いきなり情報の連結力が発達しだして、
ひとつの物事からたくさんアイデアとかひらめきが生まれ出るんだと。
こういうのがね、突然「あれっ」と思わされる奴を生んでたりするんじゃないかと
思ったりしたわけですよ。
土屋 ほうほう、そこ行くと、高須ちゃんはどうなのよ?
高須 僕ねぇ…寝てないんですよねぇぇぇ!!(笑)
土屋 うはははは!!(笑) だめじゃん!!
高須 そうなんですよ、もう30代後半ですよ〜。
しまったーー、おっそいわぁ〜と思ってですねぇ(笑)。
いまさらですけどものすごく不安になりましたよ。
でも、歴史上のすごい人たちとかで寝てない人とかも たくさんいたりするし…
まぁ、睡眠が短いからって へこむことはないかもなぁと、思うようにしてるんですけどね。
だけど、突然変わっていく奴ってのには、
脳みそのそういう進化ってのもあるんじゃないかと思いましたね。
土屋 なるほどねぇ、おもしろい考えだね〜。
寝てない高須ちゃんがどこへ行くのか楽しみだなぁ(笑)
 
■才能は枯れるか■
高須 才能について、いろんな人に伺ったことがあるんですよ。
糸井さんに「才能っていうのは年齢とともに枯れていくものだと思いますか?」と
尋ねたときにはこう答えが返ってきたんです。
「昔は、いくらでもアイデアが出た。ぼろぼろと出すことができた。
  石ころなのかダイヤなのかを見定めることもできず、 とにかくころころとたくさん出せた。
  それ自体が自分の才能だとしたら…歳を取ってくると、 ダイヤを出せるようになってきた。
  間違っても、三回に一回はダイヤが出せるようになってきた。
  その代わりに、たくさんの数は出ない。
  歳を取ったら、ダイヤを出すことができるようになったんだ」と。
土屋 ほうほう。
高須 ゲイシャガールズの頃、坂本龍一さんにも聞いたんです。
「年齢で、才能って衰えていっちゃうものですか?」って 失礼を承知で聞いてみたんですよ。
そしたら 「かわんないよ」ってちょっとキツイ感じで言われて…(苦笑)。
だいぶドキッとしちゃいました。
「僕は変わらないと思う。だって歳を重ねれば、才能に加えて技術が足されていくわけだから、
  衰えていくとは思わない」と。
土屋 ふむふむ。
高須 あと、立川談志さん。 これは人から聞いたことなんですが、
「才能は変わらない、ますます良くなるばかりだ。 何が変わってしまうかというと、
 体力だ。イメージしてるものは若い頃と一緒でも、 体力がなくなると、
  技術がどれだけすばらしくなっていても、 それを完璧に仕上げる体力がついていかない。
 人は才能がなくなっていくんじゃなくて、 体力がなくなっていくから、
  仕上げができなくなるんだ」
土屋 なるほどなぁ。
高須 僕としては、談誌師匠の言葉が一番響いていて、
なるほどな、そう思っていこうと思うんですけど… 土屋さんはどうですか?
土屋 それって、談志さんは演者だったり、 坂本さんは音楽家だったり、
糸井さんはコンセプトメーカーだったりして、
三種三様だから ちょっとずつ才能の感じが違うと思うんだよね。
今聞いていても、同じ「才能」って言葉でも、 違う感じはするよね、捉え方とかがね。
高須 そうですね、それはありますね。
土屋 談志さんの話を聞くと、大将のことを思っちゃうわけよ、やっぱり。
同じ演者として55号はおもしろい。
おもしろいんだけど、ジャンプ力がなくなってしまってるんだよ。
だから、60センチ飛べたときはおなじコントをやっていても、 きちんとオチてた。
ところが、今は30センチしか飛べなくなってるわけ。 だから、オチてない。
飛べなくなったという瞬間に、違うものを見つけなければ
おなじだけの笑いを取ることはできないってことになるんだ。
非常にシビアなことを言えば、 こないだ舞台で、
昔の『江戸の花嫁』って舞台を 55号がやったんだけど、おんなじことをやってたわけさ。
まったく同じ動きをするにしても、 ゆっくり立ち上がっちゃったりして
「あー、歳を取ったね」ってところでお客さんが笑う。
だけど、そういうのは違うでしょ?
違うけど、だけど、55号のフレームでやってしまうから、 違うままでいってしまう。
高須 なるほどね。
土屋 大将は相変わらず、教えることもすごいし、 技術もすごいんだけど、
やっぱり演者としては 「それはやっちゃだめ!」っていうのがあるような気がする。
それはもう、ジャンプ力の差、だよね。
たとえば、談志さんは落語だけど、 落語ではないことを彼がやろうとしたときに
それを支えるジャンプ力とか、それを支える手のスピードとかはもうないんじゃないかと
思ったりするんだよね。俺にとっての才能は「考える時間の長さに耐えうる体力」だと思ってる。
ドラマの貴島が 「いやー、ドラマのことを24時間考えてていいんだよ?」って
楽しげに言うのを見てると、この人はドラマの才能あるんだなって思えるよね。
高須 うんうん。
土屋 俺だってそう。
24時間、自分の番組のこと、バラエティのことを考えてても ぜんぜんつらくないんだよ。
それが才能だと思ってる。 だから、それがしんどくなってきたら、おわりだからね。
高須 なるほどー。 僕はね、考えることがしんどくなってる番組が いくつかあるんです。
仕事として仕事をとらえたときには、 才能って意識がどっかに吹っ飛んでるのかもしれませんね。
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