御影屋

高須光聖がキク「高須光聖×合田隆信」 第4話

先日、復活特番となった『学校へ行こう!』をはじめ、『ガチンコ!』など、アイドルが全力で取り組むバラエティを数々成功へと導いた合田隆信さん。彼は芸人バラエティを潰した戦犯だったのか?その背景にはTBSが抱えていたジレンマや、芸人に対するコンプレックスや憧れなどがたくさん渦巻いて……!?本音で語られる失敗談も含め、胸を熱くするお話がいっぱいです。
取材・文/サガコ

インタビュー

第3話

2002.01

『学校へ行こう!』『ガチンコ!』始まる

高須

ゴウちゃんが、初めて大きい勝負になったっていうのは、
いつ頃の、何の番組?

合田

TBS入って8年目、『学校へ行こう!』ですね。
ゴールデンのレギュラーでは、この番組が初の総合演出でした。

高須

その時って、アイドルでバラエティをつくるって事に対しては、
どんな気持ちやったん?
芸人中心のバラエティー番組が多かった中で、不安とかなかった?

合田

いや、そんなに不安はなかったですね。
逆に言えばやりがいがあるな、と思いました。
自分も若い、タレントも若い。
どちらが主導権を握るということでなくやっていけそうかな、と。
当時のV6はまだまだデビューしたばっかりみたいな感じでしたから、
それほど器用ではなかったですけど、その前に僕はT OKI Oと
深夜番組『TOKIOHEADS』で一緒に組んでやってましたから、
そのノウハウ活かして、やれることはあるだろうと。
もちろん僕らも素人みたいなもんでしたけどね(笑)。
僕は芸人さんのレベルと、アイドルのレベルって言うのは、
永遠に埋まらないだろうと思ってるんです。
だって、完全に別物じゃないですか。
同じレベルで何かをしなくちゃいけないって事もないし、
笑いの要素が足りないっていうんであれば、
それは作家が足していけるわけですから。
そのために、作家の先生達が必要なんですからね(笑)。
だから、特にアイドルメインのバラエティって事で
不利だとかそんなことは思いませんでした。
まぁ、始まった当初はV6の彼らもかなり無名でしたからね、
その分をどうしようかなぁ、と思ったことはありましたけど。

高須

あの番組にみのさんを入れようって言うのは、誰が言いだしたことなの?

合田

それは渡辺香さんですね(笑)。
僕は、当初全然そんなことは考えてもいなかったんですけど。

高須

でも、あの番組はみのさんが入ってることがポイントやなぁって、
始まった当初「なるほどね」と思ったのよ、俺。
いくらVTR番組といえども、スタジオのみのさん数十秒がちゃんと生きてる。
その数十秒のために、何千万もかかるスタジオを開くんだから
燃費でいうと、めちゃくちゃ効率悪いけど、必要だと思ったな。
すくなくてもスタート時点では。

合田

正直驚いたスタッフも多かったんですわ。(笑)
でも、今となっては大英断ですけどね。
僕は当時、V6だけでやりたかったんです。
VTRメインでやるって決めてましたしね。
スタジオでのMCがそんなに必要とは思ってませんでしたから。
どっちにしても、今でこそ成功してますけど、
始まった当初は『学校へ行こう!』がヒットするなんて、
誰も予想してなかったと思いますね。
僕自身もそんなに当たるとは思ってなかったんで(笑)。
だって最初の半年から1年間は視聴率、ホントに苦しかったんですから。

高須

そうやったっけ?

合田

うん、全然でしたよ。15%超えたのは、始まって一年ちょっと
経ってからでしたもん。それまではずーっと、12~13%を
うろうろしてましたから。
で、今の枠に移動してから数字がガーッと上がったんですよ。
その頃は周りからずっと「『学校』はおもしろいよ」という
意見を耳にしてました。
だけど、意見ばかりでおもしろいって認められても、
今のTBSでよその局に「やったるわーっ!」ってのを見せようと思ったら、
視聴率を20%とか目立つぐらい取らないとダメだったんですよ。
まずは視聴率で勝たないことには。

高須

どこにも何も言う権利がないもんね。

合田

この世界、内容の充実っぷりなんて、ほんとに曖昧なもんじゃないですか。
それよりも、数字、視聴率を取るしか、確実に認められる術はない。
とにかく『学校』を15%番組にして、ヒット番組といわれるようにしよう、と
頑張りましたね。きつかったですけど。
「おもしろいね」って言ってくれる人が沢山いたけど、
そんなことはどうでもよくて、世間の人達に見てもらうことにしか
興味なかったですわ。

高須

そこまで徹底してると、普通なら否定したくなるコメントも
ある意味、納得するなぁ。
合ちゃんが言うから、ってのも大きいけどね。

合田

枠移動してから一年半後、『ガチンコ!』が始まることになって、
僕は『学校』を後輩の江藤っていうディレクターに任せて、
『ガチンコ』にかかりっきりになったんです。

高須

俺は、それの真裏やってたわ、テレ朝で。(笑)

合田

あ、そっか。『人気者でいこう』ですね。

高須

『ガチンコ』がとにかくオバケみたいな数字取ってた時期が
あったやんかー。あれはもう、ほんまに腹立った。
何でこんな番組が裏やねん! と。

合田

そうですか(笑)。
でも、『ガチンコ』も最初の三ヶ月、かなり迷ってましたからね。
企画とかテイストが、うまく見えてこなかったですし。
でも、二ヶ月半ぐらいしたころから
「あ、こういう感じが受けるな?」と分かってはきたんですよ。
その頃、フジテレビの裏は『古畑任三郎』だったんですけど、
それが終わった途端、急に数字が上がったんです。

高須

それまでは『人気者でいこう』も「格付け」で
そこそこ数字をとってたんだけどね、
あの頃の『ガチンコ』には、ぜんぜんかなわなかったなぁ。

第4話へつづく

ディレクター

合田隆信 さん

1967年石川県生まれ
1990年TBS入社
学校へ行こう、ガチンコ!、さんまのからくりTVなどの演出•プロデュースを経て
現在バラエティー制作二部長

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